レイシズム の商品レビュー
1940年代に「菊と刀」の著者である文化人類学者が人種主義について書いた本。人種による優劣はないと科学者として言っている。人種間の敵対は本能的なものではなく、まず別の対立があり、そこに利用されている。とても読みやすい文章で、それは一般の人向けに書かれているためか、訳者のおかげなの...
1940年代に「菊と刀」の著者である文化人類学者が人種主義について書いた本。人種による優劣はないと科学者として言っている。人種間の敵対は本能的なものではなく、まず別の対立があり、そこに利用されている。とても読みやすい文章で、それは一般の人向けに書かれているためか、訳者のおかげなのか、また読み直そう。
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以前から気になっておりKindleでセールになっていたので読んだ。1940年に発行された本著をが新訳で読みやすく2020年に再刊されたそう。WW2の最中にリリースされたことに驚きを感じつつも、ナチスの台頭を牽制しているあたりに当時の空気を感じてレイシズムの理解が深まるのは当然のこと、一つの記録としても楽しめた。こうやって歴史に点を打つ意味での本の重要さも改めて感じた。 読んで一番驚いたのは今でも全然通用する話ばかりだということ。人間の思考パターンとして仕方ないのか、それとも進化、適応できていないのか。レイシストが歴史修正主義者であり、レイシズムが恣意的に生まれた思想であることを丁寧に説明してくれている。アーリア人をめぐる言説の数々や頭のサイズによる差別などぼんやり知っていたことが明確になった。今となっては鼻で笑うレベルの学問かもしれないが、頭の形と優秀さの相関を真剣に追い求めていた時代があるのだから怖い。人種で何かが決まることはなく、あくまで受け継いできた環境・文化がすべてだと繰り返し主張しているし、人種が混じり合うことは歴史を通じて起きてきたことであり、その中で文明は進歩し続けているという話に納得した。 レイシズムが初めは宗教を対象にしていたが、各国の統治形態の変化と共に人種へと変化していった話も興味深かった。そもそも国家間の戦略戦争がなければレイシズムは産まれなかったのでは?とか国家規模になるとレイシズムは科学的客観性を装うこともしないとか。結局科学的な論拠はなく、すべては人間による政治の道具でしかないことがよく分かった。以下のラインは戒めとして胸に刻んでおきたい。 *私たちが傲慢無知であったり、あるいは恐慌に煽られて平常心を失うとき、分かりやすくて耳に心地よい物語がそっと忍び入る。自暴自棄になったとき、私たちは誰かを攻撃することによって自分を慰める。*
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文化人類学者であるルース・ベネディクトが著した菊と刀に並ぶ代表作。 その表題の通り、人種差別に対して社会人類学者として確固たる証拠を突きつけながら明確なNOを突きつけている。 著作が書かれたのは1942年のナチスドイツが勢力拡大している最中であり、ナチスドイツが掲げる人種差別政...
文化人類学者であるルース・ベネディクトが著した菊と刀に並ぶ代表作。 その表題の通り、人種差別に対して社会人類学者として確固たる証拠を突きつけながら明確なNOを突きつけている。 著作が書かれたのは1942年のナチスドイツが勢力拡大している最中であり、ナチスドイツが掲げる人種差別政策への批判を念頭に書かれたように見える。 ただ、話題はナチスドイツだけにとどまらず、白人の有色人種に対する差別にも踏み込み、こちらにもNOを突きつけている。 中には社会に阿るために差別を助長する学者もいる中で、白人である彼女が既得権益を捨ててNOというのはとても勇気ある行動だし、人として素晴らしい人物だったのだろうと思う。 以下はいいなと思ったところ ・レイシストに特徴的なのは、自分たちの主張を根拠づけるために絶えず歴史を書き換えるところである。 ・子供が大人を手本として一から学び取っていくものだけを文化という ・歴史の教える通り、条件さえそろえばどんな民族であっても時には冒険者、時には侵略者となりうる ・衣食住が満たされれば、人間は自分が所属する社会が推奨している形で尊敬を獲得しようとする。 ・本質においてレイシズムは「ぼく」が最優秀民族の一員であると主張する大言壮語である。 ・私たちが傲慢無知であったり、恐怖に煽られて平常心を失う時、わかりやすくて耳に心地よい物語がそっと忍び寄る
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そもそもの人種や国の定義の曖昧さ。(前半) 人種の違いから湧いてくると思われがちなレイシズムが、あくまで「あらゆる不平等への不満のはけ口としての手段」に過ぎないこと。そして解決への方向性も示されてる。(後半) 前半部は今でこそスタンダードな考えなので目新しさはないけど、第2次...
そもそもの人種や国の定義の曖昧さ。(前半) 人種の違いから湧いてくると思われがちなレイシズムが、あくまで「あらゆる不平等への不満のはけ口としての手段」に過ぎないこと。そして解決への方向性も示されてる。(後半) 前半部は今でこそスタンダードな考えなので目新しさはないけど、第2次世界大戦時中に書かれたと思うとすごい。後半けっこうおもしろかったです。 . ー 本質においてレイシズムとは、「ぼく」が最優秀民族(ベスト・ピープル)の一員であると主張する大言壮語である。その目的を達成するためには1番うまい手段であろう。 . あと表紙おしゃれ
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ルーズ・ベネディクトと言われると、『菊と刀』が思い浮かぶ。 だが、この『レイシズム』も、古典でありながらも、現代に通じる、というよりも、現代で改めて考え直さなければならない一冊だった。 人種差別はよくない、ということは誰でも知っている。しかし、なぜよくないかを、「人種」で説明...
ルーズ・ベネディクトと言われると、『菊と刀』が思い浮かぶ。 だが、この『レイシズム』も、古典でありながらも、現代に通じる、というよりも、現代で改めて考え直さなければならない一冊だった。 人種差別はよくない、ということは誰でも知っている。しかし、なぜよくないかを、「人種」で説明しようとする。例えば、肌の色だとかわかりやすい外見を使って。 しかし、目を向けるべきなのは、「人種」でなく、「差別」の方であり、人種差別とは、「外見の特徴」という、「わかりやすい基準」に目を向けた、差別なのだ。 読みながら思ったのは、こうした、差別がなぜ起こっているのか、ということをこれほどまでに詳しく、網羅的に書かれている本が、第二次世界大戦の時代に書かれていたにもかかわらず、現代でも解決されていないのはなぜかということ。 それどころか、より複雑さを増してきているようにも思える。 今まで見えてこなかった、隠されてきたものが顕在化されたり、意識化されたりしたから、かもしれないが、解決策が示されているのにも関わらず、根強く残り続けているのには、「わかりやすさ」があるように思える。 『私たちはそういうシンボリックなものに心を奪われてしまいますから、私たちが具体的な対人関係を軽視して、抽象的なことばかり考え詰めてしまうパターンはこれからも続くでしょう。でもだからこそ確固としたもの、事実といえるところにまで立ち返って、そこから話を始める必要があるのではないでしょうか。『レイシズム』は、その拠り所となる本だと思います。』(訳者あとがきより) 複雑性に耐えられなくなったとき、例えば、自分にとってわからない知識が目の前に出てきたら、「検索する」ように、「解決策を探す」のではなく、じっくりと腰を据えて考えてみる。回答を思いついても、それを保留にしておく。 「答えを出すこと」に急ぎすぎてしまった自分にとって、「寝かせる」という発想は『ネガティブ・ケイパビリティ』に通じていくような気がします。
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古典的なもの。1940年代に書かれたものだが、内容は現代にも通じるところがあり、レイシズムの本質を突いている。しかしそれレイシズムを人がズルズルと引き摺っている証拠だろう。
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人種主義、人種差別についての古典的考察本。 マイノリティの保護にはマジョリティの教育経済的安定、社会全体の安寧が必要とされます。 レイシズムとナショナリズムが結び付かない様に、負の歴史が繰り返さない様に、この本を読んで思います。
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人種というのがそもそもはっきりしない区分けであり、人種間の優劣というのも科学的に否定されている、という説は、一般的にそう言われてますね、はい、という感じ。(ちなみに何と言われようと私は遺伝的な得意不得意はあると思っている…。一部の黒人は遺伝的に陸上が得意な人が多い。同じ理由で例え...
人種というのがそもそもはっきりしない区分けであり、人種間の優劣というのも科学的に否定されている、という説は、一般的にそう言われてますね、はい、という感じ。(ちなみに何と言われようと私は遺伝的な得意不得意はあると思っている…。一部の黒人は遺伝的に陸上が得意な人が多い。同じ理由で例えば数的処理能力は?音楽的能力は?ある特定の集団の中で、得意な人が多い少ないがあってもおかしくない。それぞれの能力の間に優劣はない=人種の優劣はない、とは思うが。)ただ、すべてのレイシズムは政治利用のために作り出された、という説は新説で面白かった。言われてみるとそんな気がする。 (以下レイシズムの政治利用に関するただのメモ) ただ現在のレイシズムの政治利用はもっと巧妙になっていると思う。例えば米国における大学入試。普通に試験をすると難関校定員の80,90%はアジア人になってしまう。そこで、黒人、ヒスパニックが社会の下層から抜け出すために積極的格差是正をしなければならないという理屈を適用し、人種別の合格枠を決める。誰が一番得をするか。60%の枠を確保できる白人である。白人は黒人差別を利用して(特に脅威を感じている中国人に対して)有利な地位を作り出しているのでは?ひねくれすぎかしら。
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レイシズムが錦の御旗にされたのは、ヨーロッパによる大航海時代からナショナリズムにかけてと説明があったと思うが、それではアジアにおける中華思想や日本国防における神風や鎖国主義は何だったのであろうか。さらに、おそらくイスラームは、コテンラジオで聞いてNETFLIXのメフメト2世のイスタンブール陥落のドラマを観たが異民族を取り込みイスラームの制度のもと寛容な社会。中世のキリスト教からルネッサンス、大航海時代という「歴史は勝者のもの」という価値観で書かれた本ではないかと感じた。もちろんレイシズムという言葉を現代社会に定着させた功績は疑う余地がなく、「菊と刀」は余りにも有名。ヒトラーのアーリア人至上主義に対する批判は、この本を記した後に同氏が米軍に徴用され日本文化に対する研究分析を担ったというような説明がしてあり納得。ユダヤ人の悲劇に対しては理解が深まった(中産階級が多く資産の没収というレイシズム以外の財政的利益の裏書もあった)。ルースベネディクトは、「甘えの構造」で土居健郎が話した時に、本人の日本文化への理解が一面的であると喝破してあり、その時の印象がこのような感想につながったかも知れない。
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ルースベネディクトを読んでみようと思い購入。レイシズム(身体的特徴に基づいた人種主義)には科学的根拠がないという主張。学者の割にやや情緒的でレイシズムはダメという結論ありきの印象。人種差は個人差に埋もれるとか、純粋な人種など無いというのは科学としてわかるが、優劣の有無は科学の領分...
ルースベネディクトを読んでみようと思い購入。レイシズム(身体的特徴に基づいた人種主義)には科学的根拠がないという主張。学者の割にやや情緒的でレイシズムはダメという結論ありきの印象。人種差は個人差に埋もれるとか、純粋な人種など無いというのは科学としてわかるが、優劣の有無は科学の領分では無いように思った。知能テストで先天的な人種差を測定できなかった話はおもしろかった。 最終章の「どうすれば人種差別はなくなるだろうか?」での主張は、人種主義は弱者迫害の口実に過ぎない、迫害を無くすには教育や啓蒙だけではダメで国家レベルの社会改良が必要、というもの。確かに人種差別だけ見ていてもだめだと勉強になった。ナチス時代にあった昔の話で終わらせず、現代の差別も同様の視点で見ることができそう。
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