月のケーキ の商品レビュー
まるでおとぎ話のようでありながら、現在の現実にも則している不思議な物語を集めた短編集。 不思議すぎて、何か謎めいた風が吹き抜けていったかのような読後感。
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海外らしいブラックジョーク的なものもあり日本にはないよなこういうの笑って感じで読んでました。 日本にはないからこそ楽しめる話があるかもしれません(^-^)
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短短編集。登場人物が子供と老人が多い。薄めファンタジーですか? 中では、「バームキンがいちばん!」が好きというか。他は全部もやもやする 感じで。表題作「月のケーキ」は食するものではなくて、呪物のような物であり、結構アイルランドとかあの辺りって、ドイルド信仰っていうの?ところかしこ...
短短編集。登場人物が子供と老人が多い。薄めファンタジーですか? 中では、「バームキンがいちばん!」が好きというか。他は全部もやもやする 感じで。表題作「月のケーキ」は食するものではなくて、呪物のような物であり、結構アイルランドとかあの辺りって、ドイルド信仰っていうの?ところかしこにそういう表記がある。田舎、寒い、となると、薪。あれ火をぼんやりみてると、色々ふつふつわきあがってくるもんあるよね。そうすると、独自の死生観が発生してしまうんでしょうかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ひとつひとつの短編が短いから寝転んでぺらぺら読んでいた。おとな用のおとぎ話っぽい。ちょっとホラー要素もある。2作目が可愛いズンドコベロンチョみたいな話だった。それが一番好きだな。 ズンドコベロンチョとか久々に言った。90年代の世にも奇妙な物語のノリが好きなんだけど、デジタル化した現代にあの気味の悪さと理屈の通らなさはなかなかやりづらいですね、私の好きな文学作品も令和にはありえんノリなのがほとんどだ。ポリコレ的な意味ではない。それってどういうこと??って突っ込む人が絶対いそうだし、事象そのものもその魅力も良さも悪さも言語化され尽くすのが当たり前だから、あの物語たちは成立できない。今の人間にズンドコベロンチョなんて語感と雰囲気の造語はもう出せないだろうしな、そもそも。今は今の空気のものしか創造し得ない。 特段意味のないことをやり続けるのが好きだ。なんの教訓も愛の格言も読むことそのものへのステータス的価値もない本を黙々と読むとストレスが減る。ハイコンテクストな温室でずっと日向ぼっこをしていたい。せっかく自分が作り上げたものだから大事なのだ。広い世界は図鑑か水族館形式かでかまわない。
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食べると悪いことが起こるまえの状態に戻れるという「月のケーキ」、娘の話す物語を商売に利用する父親「バームキンがいちばん!」、おばあちゃんが残したオウムのフォッズの言葉で次から次へと形見の品にお湯をかける「オユをかけよう」など13話の短い童話集。 なかでも「バームキンがいちばん!」...
食べると悪いことが起こるまえの状態に戻れるという「月のケーキ」、娘の話す物語を商売に利用する父親「バームキンがいちばん!」、おばあちゃんが残したオウムのフォッズの言葉で次から次へと形見の品にお湯をかける「オユをかけよう」など13話の短い童話集。 なかでも「バームキンがいちばん!」の女の子アンナの意表を突いた発想は楽しい。 スズメがバスの乗車券をくわえて飛んでいくのを見送り、「スズメはバスに乗りにいくところだったのかな」とか、男の人が手押し車に長靴をのせて押していくのをながめて「長靴は、手押し車にのせてもらわなきゃならないくらい疲れてたの?」と思いを巡らすシーンや、バームキンについて「どこにいるかによるかな。 石は、道にあるときはいいものだけど、靴の中に入るといやなものになるでしょ。 アイスクリームは手に持っているといいけど、手の甲に垂れたらいやだし、木は外にあればいいけど、お風呂場に生えたらいやでしょ」 と話すシーンには頷かされる。
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幻想的で奇妙な味わいの13編を収めた短編集。大人のための童話集のような味わいです。作品全て非常に良く出来ており夢中になって読みました。幻想短編、ファンタジーが好きな方におすすめ。
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13の短編集。 幻想的で、少し怖かったり、温かみがあったり、カラフルというに相応しい。 表題作、「月のケーキ」は何か少しずつ足りないものを持っている人々が暮らす村が舞台だ。 希望を失った人たちが暮らすその村はどこか気味が悪い。 ある日主人公のトムはやはり薄気味悪い村の女に月のケ...
13の短編集。 幻想的で、少し怖かったり、温かみがあったり、カラフルというに相応しい。 表題作、「月のケーキ」は何か少しずつ足りないものを持っている人々が暮らす村が舞台だ。 希望を失った人たちが暮らすその村はどこか気味が悪い。 ある日主人公のトムはやはり薄気味悪い村の女に月のケーキ作りを共にするよう強いられる。 何かを取り戻したい、そんな思いを感じて。 「やってしまったことはやってしまったことだから。それでも、人生は進んでいく。 そうじゃなきゃ、まるでただのゲームだもの。だけど、これはゲームじゃない。」(34頁) この言葉が物語の流れを変える。 美しい言葉とは裏腹に、不穏さを感じる月のケーキ。 彼はそれを口にするのか。 人生は自分で手綱を取る、そんなメッセージをまさか「気味が悪い」から始まる物語から得るとは。 「羽根のしおり」は大切な人を失う物語だが、そこに優しさを感じられる。 「千の風になって」という歌が流行った事があった。 柳田國男の『先祖の話』という本がある。 まさにその歌詞にあるように、大切な人の心は、目に見えないけれど、そばにあることを感じさせる。 私は両親や兄弟姉妹、配偶者も子供も失ったことはないから、悲しみは「乗り越えられる」なんて言えない。 だが、もし、悲しみに暮れる人がいるならば、「いつか読んで」と、この物語を差し出すことはできるだろう。 「オユをかけよう!」は愉快な話。 子供らしさと、ちょっとビターな笑いが混じった話。 なんでもお湯をかけてみるけれど、さて、かけるとどうなるかな? 絵本にして読んでみたい物語だ。 訳者あとがきにあるように、著者は子供向けに物語を書くとき、「この世界は単純ではないことを示す」ようにしている。 だから心に響き、だから美しく、恐ろしく、悲しく、愉快なそんな多面的、多層的な物語になるのだろう。
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エイキンはファンタジー作家だと思っていた。 語りに使えるかと思って、短編集を読んだのだが・・・ ホラーだったり、ブラック系の話で、ちょっと戸惑った。 余韻のある何とも言えない面白さもあるけれど、ぞくぞくっとする話も多くて(笑)、でも、こういうドキッはそれなりにいいかも。
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この世の隣の世界やあの世との境目、そこに住む魔女を知っている人が書いた骨太のファンタジーの短編集。 今まで知らなかったのが本当に惜しい! イギリスのウェールズなどの妖精やドルイドなどといったものについて知っている人なら絶対に気にいると太鼓判を押せる珠玉の作品集。
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ジョーン・エイキンは書いています。 「作家の任務とは、子どもたちにむかって、この世界は単純な場所ではないことを示すことだといえるでしょう。この世界は途方もなく豊かで、奇妙で、混乱しており、すばらしいと同時に残酷で、神秘的で美しく、説明しがたい謎なのです。自分がどこからやってきたの...
ジョーン・エイキンは書いています。 「作家の任務とは、子どもたちにむかって、この世界は単純な場所ではないことを示すことだといえるでしょう。この世界は途方もなく豊かで、奇妙で、混乱しており、すばらしいと同時に残酷で、神秘的で美しく、説明しがたい謎なのです。自分がどこからやってきたのか、どこへ行くのか私たちは知りません。私たちはどれほどつとめてみてもぼんやりとしか理解できない幾重にも重なった意味にとりかこまれているのです。 このような事実を告げられた方が、子どもたちにとってどれほど楽しいかわかりません。」 この言葉そのままの深みのある短編集でした。 おはなしの中で、文明の進歩によって自然(とくに森)が破壊されることにより、失われるもの(魔法も!)に対し危惧もしています。
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