有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿 の商品レビュー
幽霊男爵エリオットがとにかくいい…。煙に巻くような余裕ある物言いが魅力だけれど、彼のその言葉には嘘がない。ただひたすらに優しい。そして、どこかかなしい。1話目と4話目が特に好きだったな…最終話のコニーもいいな。最後まで楽しく彼らの会話を心地よく感じながら読み終わった。
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エリオットが幽霊を生きている人間と同じように見えている(要は区別が付かない)という点が様々な事件でより面白みを持たせてくれたなという印象。 お陰で驚かされること多数。 え、死者だったんかい! という。 でも怖いのは生きている人間の方。 事件を起こすのも、狂気に陥るのもいつだって生きている人間の方。 と単純にいかないのは流石栗原先生。 単純に幽霊が怖い話もある。 特に修道院の話は純粋にホラーとして怖かった。 真相も無論怖いし、確かに生きている人間の怖い話でもあったけど、犯人の執念が怖いというか。 絵面も断トツで怖かった。 基本的に偽オカルトを暴く系の謎解きだから「怖いと思った話は実は全然オカルト的には怖くない現実的な事件ですよ」と安心する筈が騙された。 いい意味で。 ミステリとしても本当に面白いし、ホラー的怖さも味わえる。 またエリオットの過去、従者のコニーの過去などキャラクターの抱えている事情もなかなかに悲劇で、でもその中でも人との絆や縁の大切さも再認識できるエピソードとなっていて、悲劇ながらも温かみを感じられた。 互いにとって、互いが救いになったという奇跡。 事件を起こすような良からぬ輩も勿論いるけれど、生きている人間の世界だって決して救いのない世界ではない。 それに気付かせてくれるいい主従だった。 ……主人の女癖の悪ささえどうにかなればとは思うが。
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一見紳士で、貴族の嗜みが見えるが、ひとたび幽霊やオカルトめいた話となると少年の様にふるまったりするエリオットが可愛い。幽霊によって助けられた少年は、人間と幽霊の色々な面を見たうえで、誰かを「助ける」ということに燃えている。外見はクールだが、中にはやさしさと義憤が詰まっている親しみの持てる男で大好き。 それを支えるボーイのコニーや、作中の時代の「常識役」であり、彼にとっての友人でもあるヴィクター、当時の女性としては変わり者のいとこであるアレクサンドラの仲の良さも今後が気になる。 作中の事件としては、当時に囁かれたであろうオカルト・怪奇現象を解明し、種明かしをする面白さもあるけれど、同時に「幽霊が見える」世界観でもあり、見えるものと見えないものとの世界の狭間にいるエリオットや、将来的にどうなるか楽しみなレディ・リリアン等々の面も美しさと妖しさが両方あって楽しい。 コニーの思慕の裏側にある、救われるもの、救うものの関係性も好きです。
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