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宮沢賢治の真実 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2023/04/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

宮沢賢治の書いた詩から、その詩がどのような場面で、どのような心境で書かれたのかを推理し仮説を立て、様々な情報を集めながらその仮説を証明していくという、着想としてはとても面白い本であると思う。 またある程度、情報収集が成功しており、レアな情報をキャッチすることで、著者ならではの仮説が立証されているところも多分にあるのだと思う。 ただ、宮沢賢治が同性愛者であるとする推理には、まったく疑問を感じ、説得力も感じることができず、著者の決め付けのようにしか感じられず、その一点のみで、本書の全体に対する信ぴょう性が感じられなくなってしまった。 宮沢賢治の熱心な法華経信仰の心は、友を真実の道へ導きたいという強い思いとなり、それは性別を問うことなく、自分に縁する人すべてに対する思いであって、たまたま男性の友に向けられたものに過ぎないと自分は感じた。 その行動を同性愛ととらえるのは、あまりにも短絡的すぎると思え、本書に対する興味は失せてしまった。

Posted byブクログ

2020/12/14

んー…… 全編、ゴシップ記事、という印象を拭えない。 死者が知られまいとしてきた過去をことさらに暴きたてる。まるで墓荒らしのようだ。 ドキュメンタリーだから、仕方ないことではあるのだろうけれど。 本書を参照すれば、これまで難解とされてきた作品群が一気に「わかりやすく」なることは...

んー…… 全編、ゴシップ記事、という印象を拭えない。 死者が知られまいとしてきた過去をことさらに暴きたてる。まるで墓荒らしのようだ。 ドキュメンタリーだから、仕方ないことではあるのだろうけれど。 本書を参照すれば、これまで難解とされてきた作品群が一気に「わかりやすく」なることは確かだ。 ただなぁ… 「わかりやすさ」は作品としての本質じゃない。 「わかった」と思うことで、却って損なわれる魅力の方が、私には痛ましくて悲しい。 べつに、賢治を神格化したいわけではないけれど、下世話な趣味で恥部を暴かれる故人の身にもなった方がいい。

Posted byブクログ

2020/07/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

以前から気になっていた本だったので、文庫版になったのがありがたくてありがたくて即座に購入。 読むのに随分時間は掛かってしまったが。 何しろ内容量が多いし濃い。 現地にまで赴き、非常に細やかに宮沢賢治の詩や物語を読み解いているので、ドキュメンタリーを見ている気になった。 (事実、著者はテレビ業界人、ドキュメンタリー風なのもそのためか) 本当に圧倒的情報量と説得力。 恋の詩や短歌を残しているのに恋人の影が見えてこなかった点。 妹とし子への想い。 ある一つの不可解な詩の謎解きから、宮沢賢治の心の奥底へ潜り込む旅が始まる。 病弱だが頭がよく、賢治のよき理解者だったとし子のイメージが、この本を読んでがらりと変わった。 寧ろとし子のよき理解者が賢治だったのだろう。 彼女がずっと心にため込んでいたこと。 それが原因で病にまでなってしまったこととは。 そして、その彼女が抱えていたことは、賢治がずっと抱えてきたことでもあった。 さらっと詩を読むだけでは見えてこなかった二人の心情が、この本ではこんなに鮮やかに解き明かされている。 他にも『永訣の朝』や『銀河鉄道の夜』などに隠されていた想いも解き明かしている。 本当に圧巻の一言。 これまでの定説を覆す目から鱗の理論は一読の価値あり。 この本に書かれたことを踏まえて今一度イーハトーヴォを歩けば見える景色は変わる筈。 より近くに賢治の息遣いを感じられるようになるだろう。 賢治愛好家は是非読んでほしい。 ある意味ショッキングな内容ではあるが、それ以上に得るものが多い筈だ。

Posted byブクログ

2020/04/10

「生命の伝道者としての賢治」、「農業に希望を託す賢治」…など著者はこれまで「四人の賢治像」をもっていたが、五人目の賢治と出会うことになる。 これまで看過してきた賢治の文語詩。そこには「凶」「猥」「呪」などの禍々しい気配を発する文字が並ぶ。 探偵のように、秘められた賢治の姿を探る...

「生命の伝道者としての賢治」、「農業に希望を託す賢治」…など著者はこれまで「四人の賢治像」をもっていたが、五人目の賢治と出会うことになる。 これまで看過してきた賢治の文語詩。そこには「凶」「猥」「呪」などの禍々しい気配を発する文字が並ぶ。 探偵のように、秘められた賢治の姿を探る。

Posted byブクログ