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脱ぎ去りの思考 の商品レビュー

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2024/10/01

脱ぎ去りの思考というタイトルが見事だった。同じ高知県出身でバタイユ好きということでシンパシーを覚えて購入。思ったよりはお行儀よく哲学史をなぞりつつ、非-知という知のあり方を提示している印象。脱ぎ去りというのは常に概念化から逃れるデリダ的な思考(性愛ではない!)を指し、これが本書の...

脱ぎ去りの思考というタイトルが見事だった。同じ高知県出身でバタイユ好きということでシンパシーを覚えて購入。思ったよりはお行儀よく哲学史をなぞりつつ、非-知という知のあり方を提示している印象。脱ぎ去りというのは常に概念化から逃れるデリダ的な思考(性愛ではない!)を指し、これが本書の肝。こうした思考形態が「女性的」であるというのも語の「横滑り」という従来的な二項対立を超える戦略的な操作の結果である。日本におけるバタイユ受容史(独哲より仏哲が発展してなかったがゆえに、生田や澁澤などの手により仏文エログロナンセンス的文脈のみでバタイユが読まれてきた)も興味深かった。 物足りなく感じたのはマルドロールちゃんも言っている通り、生と哲学の一致に関して、著者の生き様が示されていないゆえに説得力に欠けたという点だろう。

Posted byブクログ