芸術的創造は脳のどこから産まれるか? の商品レビュー
創造性を脳科学的に解説していて、さらにそれを音楽と絡めているところとか、おもしろかった。 しかし、内容としての目新しさはなかった。 今までにも言われていることを違う表現で言ってるだけ、のように感じた。
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著者はケンブリッジ大の神経科学者。ピアノ演奏者としても相当の腕前を持っており、実際の演奏はYoutubeでも視聴することができる。脳科学者でありながら芸術にも通ずるという稀有なキャリアを持つ著者が、潜在学習(統計学習)メカニズムと創造性の脳科学的な解釈について、神経科学の最新の...
著者はケンブリッジ大の神経科学者。ピアノ演奏者としても相当の腕前を持っており、実際の演奏はYoutubeでも視聴することができる。脳科学者でありながら芸術にも通ずるという稀有なキャリアを持つ著者が、潜在学習(統計学習)メカニズムと創造性の脳科学的な解釈について、神経科学の最新の成果を交えながら解説する。 音楽家は長期間の音楽訓練により、外界から得た音楽の統計的構造を脳内でモデル化し、その複雑性(≒エントロピー)を下げ、様々な音楽に対する予測をしやすくすると同時に脳の負荷を下げ、他者と共有可能な「意味記憶」を蓄積している。しかしこのような脳内モデルの最適化が進むと、対応可能な刺激全般の幅が広がる一方、新たな刺激からの驚きも減少し内発的報酬が得られなくなるため、意味記憶を一定のまとまり(チャンク)ごとに圧縮して、よりパーソナルな「エピソード記憶」として統合することにより、敢えてモデルのエントロピーを上げて新たな芸術の可能性を探るのだという。 本書の脳の学習過程を扱うセクションでも触れられているが、エピソード記憶は個人的な感覚体験によって修飾されているためそのままでは他者に伝わりにくい。つまり芸術家が内部で昇華させた芸術性は一般には簡単に受容されないことになる。すると芸術の受け手側では、高い芸術性を理解するためには芸術家に近い複雑性の脳内芸術モデルを構築するか、一旦モデルのエントロピーを下げる介在者(評論家等)を必要とすることになるのではないだろうか?仮ににそうであるなら現実と極めて整合的であるように思う。 一方で、著者によれば、芸術性(癖)は、潜在記憶をコンピュータでモデル化することで客観的に評価できるというが、本書の論に沿うならそのようなモデルはそれを構築した人間にとって不確実性が低いものになるのではないかと思える(不確実性が高いことは元の芸術性を正確に移し取っていないことを意味する)。そうであるなら、そのモデルを用いて音楽や絵画などの芸術作品を可視化したとして、それは鑑賞する側がそこから内発的報酬を得られるような新鮮味を伴うものになるのだろうか。 脳科学は本当にエキサイティングな分野だと思うが、こと「芸術を科学的に再生産する」というアイディアとなるとあまり魅力が感じられない。プロセスを解明することの意義はともかく、アウトプットとしては大したものが得られないのではないかという抜き難い疑念が、この手の話を読むとどうしても残ってしまう。 帯のタレントの推薦文通り「10回は必読」かどうかは別として、脳科学の可能性と限界を考える上では示唆に富む一冊だと思う。
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脳科学・情報科学に基づいた創作における脳活動のモデル化と、創造性を育むための具体的な方法論。音楽や機械学習の話題が多く、バックグラウンドが近いため興味深かった。デジタル・ヒューマニティと呼ぶらしい。
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あんまり面白くなかった。 一般読者向けに構築しているわりにはERP/ERFのグラフなど判別・解釈や意味が分かりづらいことに時間を割きすぎじゃないか?
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