生活をデザインする家庭科教育 の商品レビュー
ジェンダーに関する議論を何かの番組で見ていたとき、ふと家庭科の授業で家族や家庭内の役割に関する話をしていたことを思い出しました(ずいぶん昔で記憶はおぼろげですが)。もしかしたら各個人のジェンダー観は、学校で習った内容に基づいて築き上げられてる可能性があるのかもと思い、本書を読んで...
ジェンダーに関する議論を何かの番組で見ていたとき、ふと家庭科の授業で家族や家庭内の役割に関する話をしていたことを思い出しました(ずいぶん昔で記憶はおぼろげですが)。もしかしたら各個人のジェンダー観は、学校で習った内容に基づいて築き上げられてる可能性があるのかもと思い、本書を読んでみることにした次第。 その点で言えば、今は事実婚や同姓のカップルなど、いろんなスタイルの家族像があることを前提に授業が行われている模様。女性の社会進出が進んでいないことなどが問題になっていますが、今教育を受けている子供たちが社会の中心を担うころは、自ずとジェンダーフリーが進んでいくような気がします(楽観的すぎかな?)。 それ以外の点で本書で気付かされた点では、家庭科は他の教科(国語、算数など)を複合的に応用する高度なものだなぁ、という点。それはつまり、家庭科の教師に求められるスキル・知識も多岐にわたるわけで、めちゃくちゃ大変な仕事だということを初めて認識しました。 また家庭科の授業を通して、生活の中でこれまでに学んだ知識がどのように活きるのかを知るきっかけになり、そこから他の教科を学ぶ意欲につなげられる可能性を秘めてるようにも思います。そのことを踏まえると、もっと家庭科という教科の重要性を見直したほうが良いのかもしれません。 更に言えば、家庭科というのは「現代社会における生き方」を学ぶ教科とも言えます。近年では衣食住に加え、消費者教育推進法が制定され、物を買うことから契約についても学ぶそうです。社会に出たら必ず直面するであろう事柄を学ぶわけで、その点でもこの教科の重要性をもう一度考え直したほうが良い気がします。 むしろ、生活に関わる様々な事柄を軸に、他の教科を学んでいくという形式もアリなのかなぁ、と思ったりもしました。けれど、低学年だと理解しにくい事も多いでしょうし、まずは国語(読解力と言語化)ができないと何も始まらないと思うので、それは難しいかな…… いずれにしても、家庭科を含む教育は次世代の人材を育む基盤なので、人口が逆ピラミッド状態で年寄りが余ってるなら、もっと教育に人的コストをかけてもいいんじゃないかと(担当範囲を絞って専門性を高めたり、単純に教員一人当たりの負担を減らすなどの目的で)。それが無理でも、少なくとも年寄りを手厚くするより、若い世代の育成や子育て支援にコストをかけるほうが、間違いなく将来のためになると思うんですよねぇ。 やや脱線気味になりましたが、いろんなことを考えさせられた一冊でした。教員向けの書籍のようですが、門外漢の自分にも分かりやすい内容で、ずいぶんタメになった気がしています(多分……)。
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