MMT(現代貨幣理論)のポイントがよくわかる本 の商品レビュー
秀和システムからMMT解説本が2冊出ているが、その1冊目。筆者は多くの分野でさまざまな解説本を書いている人で、本書は、租税貨幣論と特に政府の財政オペレーションの記述が詳細なのが特徴だ。第2章が租税貨幣論の章で、第3章と第4章が財政オペレーションの具体的な仕訳にページが割かれている...
秀和システムからMMT解説本が2冊出ているが、その1冊目。筆者は多くの分野でさまざまな解説本を書いている人で、本書は、租税貨幣論と特に政府の財政オペレーションの記述が詳細なのが特徴だ。第2章が租税貨幣論の章で、第3章と第4章が財政オペレーションの具体的な仕訳にページが割かれている。 租税貨幣論を扱った第2章では、モズラーの名刺モデルや、従来の貨幣理論の特徴である「ババ抜き」貨幣理論への批判、「無税」国家論批判、債務ピラミッド、スペンディングファーストなどが概ね抑えられており抜かりはない。第3章と第4章では、レイの教科書(通称:金ピカ本)の最初の方に載っている統合政府の財政オペレーションについて具合的かつ丁寧に仕訳がされている。金ピカ本に挫折した人は、自分で手を動かしながら仕訳を書いていけば、必ず理解できるようになるだろう。(余談ながらP.76以降の仕訳の200億円はすべて100億円の誤植だと思われる) 後半の第5章と第6章は、藤井聡氏、島倉原氏といった京都大学周辺のMMT受容グループ(通称:京都学派)の著作のほぼ要約で、MMTと主流派経済学との折衷案的な内容(デフレ脱却がどうたらの話)。あまりMMT自体と関係ない話が続き、JGPの話は触り程度でミンスキーの話題は出てこない。本書は、JGPが少々、ミンスキー成分抜きのMMTの解説なので、MMTを知っている人には大いに不満があると思うが、第4章の統合政府の財政オペレーションの具体的な仕訳は、知っている人でも改めて読む価値はあると思う。初めてMMTに触れる人は金ピカ本よりもこちらを薦めたい。MMTに初めて触れる人には悪くはない本です。
Posted by
現代貨幣理論入門をわかりやすく書き直したものである。それに加えて、日本の事情に則した記述もあるので、現代貨幣理論入門とダブルで読むとより理解が深まる。
Posted by
- 1