心理学 第5版補訂版 の商品レビュー
第5版を読んだことはあったが、今回は補訂版を読了。かかったのは1-2週間程度。 心理学に関しては素人であるが、短いページ数ながら心理学全体を見通せる良い入門書だと思う。個人的には5章の錯覚や盲点、7章トピック7-3の快と欲求の差異、9章の態度と説得の項目が面白かった。例えば説得...
第5版を読んだことはあったが、今回は補訂版を読了。かかったのは1-2週間程度。 心理学に関しては素人であるが、短いページ数ながら心理学全体を見通せる良い入門書だと思う。個人的には5章の錯覚や盲点、7章トピック7-3の快と欲求の差異、9章の態度と説得の項目が面白かった。例えば説得効果について書かれているトピック9-6は詐欺の根幹に関わるし、9章のトピック9-9では「良い人が良いことをする」より「悪い人が良いことをする」方が印象が良くなる、といったいわゆる心理学っぽい内容が出てくる。もちろん学習や言語、神経科学といった、心理学の一部でありながら初学者が「これも心理学なの?」と思うような話もしっかり扱われている。この本で一通り心理学の基礎を学んだ後、興味を持った心理学の分野(僕の場合は動物心理学や社会心理学が気になった)を学んでいけば良い。 一方で、ページが少ない分、説明が不十分に感じる箇所もある。以下は僕が感じた本書の欠点(文句)である。 ・5章p.119の錯視は面白いが、各錯覚についての説明が少なく、どう見えたら正解かすらわからない。 ・6章の6.5節と6.6節では非言語的/言語コミュニケーションが2節に分けて論じられているものの、6.6.2に非言語的な身ぶりコミュニケーションの話があり、節の区分けに疑問を感じた(著者が異なるため?)。 ・7章p.233-244のフロイト、ユング心理学は専門用語を説明しきれておらずよくわからないし、図7-8と7-9も説明が少なく理解に苦しむ。 ・8章8.4節は性格の分類に関する様々な学説の羅列にとどまり、「この学説本当に正しいの?」という感じで腑に落ちない点があった。 ・ニューロンの話がところどころ出てくるが、その説明は10章p.321-322のトピック10-13でようやく出てくるし、しかも図が小さくてわかりにくい。 ・10章は心理学のみならず哲学の知識も必要となり、記述も難解であるため、自己完結している本としての評価が下がった。 ・10章トピック10-7の人工知能の話は蛇足。「人工知能とは、人の行う知的行為を、コンピュータによって再現するもの」というのは人工知能の説明にはならない。ニューロンを模したパーセプトロンから始まり、現在の深層学習に至る道を示さなければ心理学との関係は浮かび上がってこないし、このトピックを追加する理由がわからない。 ・全体として脳の働きと絡めて話が進むが、図示されていない脳の部位があったりとモヤモヤが残る。 発見した誤植 (第3刷) p.152 図5-22 siQpai→sippai p.272 下から5行目 「P―O関係は―」→「P―O関係は-」(ダッシュ→マイナス) p.281 トピック9-9 下から2行目 「条件(――)よりも」→「条件(--)よりも」(ダッシュ→マイナス2つ) 以外、出版社情報 ========== 目次 Ⅰ こころのありか 1章 心理学の視点(鹿取廣人,渡邊正孝) 2章 行動の基本様式(鹿取廣人,鳥居修晃) 3章 発達―環境と遺伝(鹿取廣人,斎賀久敬,石垣琢麿) II こころのはたらき 4章 学習・記憶(篠原彰一,斎賀久敬,渡邊正孝,河内十郎) 5章 感覚・知覚(鳥居修晃,下條信輔,河内十郎,重野 純,鹿取廣人,杉本敏夫) 6章 思考・言語(杉本敏夫,斎賀久敬,鹿取廣人,河内十郎) 7章 動機づけ・情動(金城辰夫,鹿取廣人,石垣琢麿) 8章 個人差(金城辰夫,丹野義彦,鹿取廣人,石垣琢麿) 9章 社会行動(斎賀久敬,安藤清志,末永俊郎,鹿取廣人,鳥居修晃) III こころの探求 10章 心理学の歴史(末永俊郎,杉本敏夫,鹿取廣人,鳥居修晃,河内十郎,渡邊正孝,長谷川寿一) 〈主な改訂点〉 ・4章:「記憶」「学習・記憶の脳メカニズム」の節を全面的に改訂 ・5章:「視知覚」の節に,「盲点」に関する記述・図版を追加 ・6章:「脳損傷と高次機能の障害」の節に,「失名辞失語」「言語の半球優位と半球間抑制機能」の項を追加 ・7・8章:DSM-5に基づき,一部の記述を見直し ・10章:一部トピックを改変,トピック「デフォルトモードネットワーク」「人工知能」追加
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心理学の基礎事項がよくまとまっている,定番の教科書である。心理学といってもその幅は広い,そのことを確認する上でも本書が適しているだろう。
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ぱっと見とっつきにくいように思えるが、実際にはとても分かりやすく書かれている心理学のテキストブック。 心理学をしっかり勉強したい人は、まずはこのあたりから読むといいだろう。 また、マーケティングや消費者行動論を学ぶ上でも役立つ。
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