「大学入試学」の誕生 の商品レビュー
「入試研究という秘匿性が高く、業務にも直結した活動や研究はなかなか公表がためらわれ、実態が判りにくいと言う特殊な面を有している」(78ページ) という実情を改めて、よき入試をめざすための知見を共有するために「大学入試学」を確立したいという一冊。 なかなか難しいやね、という印象...
「入試研究という秘匿性が高く、業務にも直結した活動や研究はなかなか公表がためらわれ、実態が判りにくいと言う特殊な面を有している」(78ページ) という実情を改めて、よき入試をめざすための知見を共有するために「大学入試学」を確立したいという一冊。 なかなか難しいやね、という印象だ。 そもそも、20世紀末から各大学に設置されるようになったアドミッション・オフィスが研究拠点と位置付けられているとは限らず、研究者がある程度の期間にわたって腰を据えるような組織になることが課題であるという。それが実現しないと研究者の供給元が大学入試センターだけに限られてしまい、「学」としての知見の共有には遠い。 もちろん、個々においてよき入試をめざしてきたことに疑問はないが、それが個別具体の汎用性に欠ける知見にとどまっているのが現状なのだろう(だからこそ本書が書かれた)。 それを裏付けるのが第2章でなされている第二次世界大戦後の大学入試の概観で、これは興味深い。「共通一次試験」以前からの趨勢が描かれているので。「進学適性検査」とか「能検テスト」とか、名前すら知らなかった。 メモ:「大学入試研究ジャーナル」というのがあるのですね。
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