五行歌集 きっとここ の商品レビュー

ゆうゆう(著者)

2021/01/17

ゆうゆうさんの歌は、はっと横っ面をはたかれたような衝撃を受けることがある。
例えば

匿名で行った
善意
「あれは私だよ」
こころが
言い続ける

まるで自分に刺さってくるような真実を突きつけられる。そこから逃げない強さがある。なかったことにしない正直さがある。

食べるのが遅いと
先生から注意され
学校に行けなくなった
子
ちいさな子

何が大事なことなのか。本当のことを見抜く目がある。さぞかし生きるのも苦しいのではないだろうか。
タイトルとなったのは、この歌。

長い放浪だったけれど
やっと
「私」の置き場に
たどり着いた
きっと　ここ

自分と周りの折り合いをつける、ということだろうか。
ここ、が見つかってよかった。
山畑愛さんの優しいイラストが、じんわり染みる歌集だ。

2020/02/28

ゆうゆうさんの優れているところは、批評力と正直さである。批評力は、正確にものごとをとらえるのによく、正直さは物事のほんとうの位置づけを正しくしていくのにいい。こういう人の発言は、人をはっとさせる真実を初めて示すことがある。
今夜こそ／という男気を／冗談で往なしてやる／女気も／せつない
装画：山畑　愛　（カバー画、本文カラーイラスト６P,モノクロイラスト１P）