フラダン の商品レビュー

古内一絵(著者)

2024/01/30

「僕たちが学んでいる工業デザインは、洋上風力発電システムをより効率的にすることにも、いかに人工的で威圧的に見せないためことにも、大きく役立つんだ」

工業デザインがシステムを効率的にするというのは、想像の範囲内でしたが、それと同時に発電所を頻繁に見ることになる被災者の心理にも配慮されるべきだという考え方があるのだということを初めて知るとともに、非常に感銘を受けました。

フラダンスに青春をかける明るさと、今なお色濃く残る震災の影という大きな問題が違和感なく物語に織り込まれていて読み応えがありました。

2023/10/08

男子高校生がフラダンスに励む青春小説。私達の多くは「フラダンス」は女性が踊る認識が強いが、元々フラはカヒコといい神々に捧げる踊りを男性だけがしていた。その認識が強ければこの作品は出来なかったのかもしれない。私も2年間フラの経験があるのでとても懐かしくまたフラを習いたい気持ちになります。フラの専門用語も出てくるのでなかなかの臨場感がありました。東日本大震災の被災地である福島を舞台にしてるので、被災者の気持ちもリアルに知る機会にもなりました。何かひとつに打ち込む事で生まれるものの美しさは心打たれます。

2023/04/05

震災の爪跡残る地域で
それを経験した人にしかわからないいろいろな立場の人たちがお互いを労りながら前に
少しづつ進んでいく姿に胸打たれました。
それと同時に
フラダンスの奥の深さや意味を考えながら
踊る彼らは本当にキラキラしていたんだろうなあーと想像するだけで、
わくわく自分も元気をたくさんいただきました。
ずっとみていたいようなステキな子達で
お話が終わるのが残念な感じ。
続きみてみたいな。

2023/03/19

フラダンスといえば、ゆったりした音楽にのせて踊るイメージしかなかったけど、男性も踊る、大きな声を出して踊る、激しく踊る！ということが分かった。
フラダンス甲子園なるものもあると知り、動画を見てみたら揃っていてかっこいい…。また一つ興味をもつものが増えた。
ストーリーはシンプルで分かりやすい。フラ＝福島＝原発、その原発や地震の当事者たちが出てきて「復興」とたたかう様がちょっと新鮮。

2021/12/25

東日本大震災から5年後の福島。
阿田工業高校の2年生、辻本穣は水泳部の人間関係に嫌気がさし、退部する。そこに、会長の澤田詩織による強引な勧誘により、フラダンス愛好会に入会することとなる。
表紙がマンガみたいにラフな絵だが、中身は濃い。5年後の福島での人間関係が丁寧に書かれている。私は凸凹一年生男子コンビの関係が明かされる場面がすごく好き。泣いてしまった。フラダンスをもう少し知っていれば、ダンスの描写が理解できるのだが、残念ながらよくわからない。私も穣が観たDVDが観てみたい。