日本の中でたのしく暮らす の商品レビュー
序盤の方の歌の無骨なファンキーさに、自分の持ってた短歌の概念がたじろぎました。それだけに歌集の後半が相対的に行儀良く凡庸に映ったために尻すぼみに感じられたのが少し残念だったなという印象。
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わたしは別におしゃれではなく写メールで地元を撮ったりして暮らしてる 全部うそじゃなくて、ぼくはぼくでいいんだなって思わせてくれる。 でもその素直さの中に少しだけイライラ、モヤモヤした本音の部分があって、視点や情景を揺らがせている。その揺らぎを見せてくれるから良い。
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半年ぶりに読んでみたら思うところがあったので記録しとこうと思う(2022,1) . 窓の外のもみじ無視してAVをみながら思う死の後のこと . 永井祐は、いままでの短歌を徹底的に否定しにかかる。窓の外のもみじに、その散りゆく様に死を重ね抒情を見出したりなんかしない。そんなの無視...
半年ぶりに読んでみたら思うところがあったので記録しとこうと思う(2022,1) . 窓の外のもみじ無視してAVをみながら思う死の後のこと . 永井祐は、いままでの短歌を徹底的に否定しにかかる。窓の外のもみじに、その散りゆく様に死を重ね抒情を見出したりなんかしない。そんなの無視して、AVを横目にぼんやり死後を考えたりする姿勢 やってることは穂村弘が"まみ"を通して短歌を詠んだのと同じに見える。この永井祐が作る"ぼく"は、特に信念を持ち本気で生きることもなく、なにげない日常をぼんやりとけだるそうに生きる。 . 〈カップルたちがバランスをとる〉のをぼくはポケットに手を入れて見ていた 鼻をすすってライターつけるおいしいなタバコってと思って上を向く 水のりの匂いのようなものがする秋をスーツの人しかいない . "ぼく"の、世界と徹底的に距離を取り、斜に構える姿勢。なんだかちぐはぐな修辞に見えてさりげなく整えられた語感。短歌の、裏にいる永井祐の頑なな戦略性が、自分がこの歌集を改めて読んで感じたこわさだ。 では、平凡な日々を淡々と生きる"ぼく"は退屈でつまらない人生を送っていくのかといったら、逆だ。人生のつらさ、死へ近づく短歌の、積み上げられてきた文化への対抗 . ぼくの人生はおもしろい 18時半から1時間のお花見 君に会いたい君に会いたい 雪の道 聖書はいくらぐらいだろうか . (他の短歌を知れば知るほどこわくなっていく、違和感が多くなっていく、のもこの歌集の魅力だと思います)
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