暗黒残酷監獄 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
非常に好みで、早くも次作が楽しみ。 全く受け付けられなくて、読み通せないという人も多いのではという気も多分にしますが、 どうやら私はサイコパスの一人称をとても面白く読んでしまうという傾向にあるようです。 悪魔がゾロゾロ出てくる作品をたまたま続けて読んで、そのことに気づきました。 次もこの作風でいくのか、はたまた… 舞台が八王子なのがツボでした。
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人妻と不倫していた主人公の元に「姉が磔にされて死んだ」という知らせが入る、という冒頭から引き込まれる。 姉の財布からは、「この家には悪魔がいる」という意味深なメモが発見される。「悪魔」とは誰なのかを突き止めるために、主人公が探偵役となり家族の素性を調査するというストーリーだ。...
人妻と不倫していた主人公の元に「姉が磔にされて死んだ」という知らせが入る、という冒頭から引き込まれる。 姉の財布からは、「この家には悪魔がいる」という意味深なメモが発見される。「悪魔」とは誰なのかを突き止めるために、主人公が探偵役となり家族の素性を調査するというストーリーだ。 語り口が独特で、主人公やその周囲の人物の会話は、どこか現実味がない。 誰一人として、「小説の登場人物らしい」行動も、「現実にいる人物らしい」行動も取らない。 それなのに、一応理屈は通っている。 例えば、主人公は人妻と不倫するのを好むのだが、その理由は「雨になりたい」から。雨降って地固まる、という諺の通り、地を固めるために一旦家庭を崩壊させるために不倫を行うのだ。 このように、登場人物は常識的には考えられないような行動を取るが、行動をとる理由は登場人物の中ではきちんと筋が通っている。 倫理はないが、論理はあるのだ。 道徳を楽しむのには不適だが、二度誘拐された父、事故で死んだはずの母、自殺した兄、磔で殺された姉、奇妙な家族のミッシングリンクが主人公の地道な調査で明らかになっていくのは爽快感がある。 作者の次の作品が非常に楽しみな作品。
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好き嫌いがはっきりすると思う。私は始めの数ページでやめようとしたが、好みばかりでは読書の幅が広がらないとまた、読み始めた。合わない。
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日本ミステリー文学新人賞大賞受賞作。とりあえず、このタイトルを見ただけで「買い!」と思ってしまいました(笑)。 とにかくシュール。主人公がまずもうまったく好感が持てないながら、それでもキャラクターとしての妙な魅力があります。こんなのが身近にいたら嫌なんだけど、なんか目が離せない。...
日本ミステリー文学新人賞大賞受賞作。とりあえず、このタイトルを見ただけで「買い!」と思ってしまいました(笑)。 とにかくシュール。主人公がまずもうまったく好感が持てないながら、それでもキャラクターとしての妙な魅力があります。こんなのが身近にいたら嫌なんだけど、なんか目が離せない。そして彼を取り巻く家族やクラスメイトたちもあまりに独特すぎる! 何もかもがぶっ飛んだ印象なので、かなりひどい言動があるにも関わらず軽ーく笑って読めます。 姉の死と、それに関わっての「悪魔がいる」という謎。自らの家族について調べる椿太郎がたどり着く真実は、まっとうな人間ならかなり耐え難いものなんだけど。こいつがこんなんでへこたれるわけがないよなー。どこまでも飄々と乗り越えていく椿太郎の姿にはいずれ好感……はやはり覚えませんでした(笑)。でも「雨になりたい」という彼の言葉、一瞬いいこと言うとか勘違いしそうになってしまいましたよ。そりゃあ結果が良ければいいけどね。ぐちゃぐちゃにする時点で間違ってるから、それ。
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城戸喜由『暗黒残酷監獄』読了。 まともなキャラは存在しないのだが、その狂った歯車で成立している世界はどこか本質を突いている。 本格ミステリのコードを知っている人が書いた文学みたいな印象が強く、そこが魅力だろう。 登場人物の言動のズレは飛鳥部勝則的で、倫理観を超越した作風は白井智之...
城戸喜由『暗黒残酷監獄』読了。 まともなキャラは存在しないのだが、その狂った歯車で成立している世界はどこか本質を突いている。 本格ミステリのコードを知っている人が書いた文学みたいな印象が強く、そこが魅力だろう。 登場人物の言動のズレは飛鳥部勝則的で、倫理観を超越した作風は白井智之的なのだが、それでもパッチワークのような感じはなく、オリジナリティは保っている。伏線回収の仕方のさり気なさは端正で、有栖川有栖の評価を得たのも納得である。
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同級生の女子から絶えず言い寄られ、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだし、友人は皆無の高校生・清家椿太郎。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモ。その真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始め、残酷な真実に辿り着く。第23回日本ミ...
同級生の女子から絶えず言い寄られ、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだし、友人は皆無の高校生・清家椿太郎。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモ。その真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始め、残酷な真実に辿り着く。第23回日本ミステリー文学大賞新人賞 史上最年少受賞作!
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