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ベルリン1919 赤い水兵(上) の商品レビュー

4.7

10件のお客様レビュー

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2022/09/09

ナチス台頭の前のドイツ、ベルリンの様子。帝政を覆したはいいけれど、また新たな圧政に苦しみ、抵抗する労働者たち。少年の目を通しての描写だから、より純粋で素朴で、せつない。真実を映す鏡のよう。人間がその愚かさに気づくには、100年、200年くらいでは足りないんだな。

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2022/03/14

 ドイツの児童文学なのですが、65を過ぎたジジーが、昔を思い出して興奮しています。  第1次大戦に敗北したドイツ帝国、労働者の尊重される社会を目指したローザ・ルクセンブルグやカール・リープクネヒトが虐殺される1919年のベルリンの町で「まっすぐ」な中学生が生きています。すでに歴史...

 ドイツの児童文学なのですが、65を過ぎたジジーが、昔を思い出して興奮しています。  第1次大戦に敗北したドイツ帝国、労働者の尊重される社会を目指したローザ・ルクセンブルグやカール・リープクネヒトが虐殺される1919年のベルリンの町で「まっすぐ」な中学生が生きています。すでに歴史を知っているジジーの目から見れば、すべてに悲劇的な結末が待っているのですが、生き生きと活躍する少年を描くことで、現代の子供たちに、もう一度「歴史」に目を向ける契機をつくりだしているクラウス・コルドンに拍手です。  近代社会に限らず、ご都合主義の蔓延する日本の子どもたちに比べて、ドイツの子どもたちは幸せだと思いました。  ブログにもあれこれ思い出を書きました。覗いてみてください。  https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202107120000/

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2021/01/09

ドイツ革命、激動の3カ月に起きたこと。 その只中で生きる13歳の少年ヘレにとっては、歴史なんかじゃなく、家族や友だちとともに否応なく巻き込まれていく現実。 ヘレの気持ちや生活の描写が丁寧で、ヘレの気持ちで読み進めます。 食べるものも暖房もままならない冬のドイツで、家族や仲間たち...

ドイツ革命、激動の3カ月に起きたこと。 その只中で生きる13歳の少年ヘレにとっては、歴史なんかじゃなく、家族や友だちとともに否応なく巻き込まれていく現実。 ヘレの気持ちや生活の描写が丁寧で、ヘレの気持ちで読み進めます。 食べるものも暖房もままならない冬のドイツで、家族や仲間たちの安否を懸念する緊迫感に引き込まれました。読み終えて、ドイツ革命の歴史をおさらいして、また読んでいます。

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2021/01/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

子ども向けの柔らかな語り口に反して、突き刺さる内容でした。戦争や革命は私が子供の頃にはもう「歴史」だったけど、この時期に生きていた子どもたちにとっては「日常」だったんだな、と。 戦時中の人々の生活の悲惨さや革命の荒々しさだけでなく、その中で暮らしている人々の葛藤や衝突がとても丁寧に描かれていました。 ヘレとフリッツが仲違いしてしまうシーンはとても悲しかった。父親の思想によって子どもたちの友情が分断されてしまうなんて、とても残酷。 ヘレがこれから何を見て考え、思想はどのように変化するのか。下巻も楽しみです。

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2020/11/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何ヶ所、号泣したかなあ・・・ 1919年、ドイツ。戦争を終わらせるため、水兵が蜂起したことをきっかけに起こったドイツ革命。それらに命をかけたベルリン市民の闘いを軸に、貧しくも誇り高い主人公ヘレの一家と隣人たちが、世界を、生活を、未来を良くしようと挑む命がけの日々。 大きな時代のうねりをしっかりと描きながら、登場人物それぞれの心の動き、その背景にあるものを蔑ろにしない。とりわけ、主人公ヘレ目線での、家族や友人そして社会に対する心情の描写が素晴らしく、何度も息が止まりそうに切なくなった。 革命がなくても、戦争が終わっても、食うや食わずの苦しい生活の中で、家族や隣人たちと心を寄せ合い、ユーモアを忘れずに暮らすヘレたちの姿に励まされ、その深い人間愛に胸を射抜かれまくりでした。 一ヶ所には到底しぼれないのだけれど・・・ そんな毎日の中でのクリスマス。大切な人へのせいいっぱいの気持ちを贈り合う場面では、彼らの生活や激動の数週間を思うとこみ上げるものが。ラスト近くの送別の場面も、もう泣くに任せるしかない。という状態でした。 こんなすばらしい物語の感想なんてまとめられない!そして、これまで知らないで生きてきたわたしのばか!今読むことができて本当に良かった・・・

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2020/11/23

貧しいゲープハルト一家の子供たちの視点から、20世紀前半の激動のドイツの転換を眺めることが出来る三部作の第1部のお話です。

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2020/11/07

分断によって、友情が壊れたり、人が人を殺したりするようになるのをヘレの目を通して見た。 ここから1933, 1945につながるとのことで、こちらも楽しみに読みたい。

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2020/11/05

20世紀前半ドイツの3つの転換期を、激動のベルリンで生きる、貧しい労働者一家の目線からとらえた『ベルリン3部作』。 「ベルリンは晴れているか」の深緑野分さんも推薦するこの作品に大変興味を持ち、1919上巻を読んでみた。 前半、取り巻く背景が少しややこしく、ちょっとだるいかなぁ・・...

20世紀前半ドイツの3つの転換期を、激動のベルリンで生きる、貧しい労働者一家の目線からとらえた『ベルリン3部作』。 「ベルリンは晴れているか」の深緑野分さんも推薦するこの作品に大変興味を持ち、1919上巻を読んでみた。 前半、取り巻く背景が少しややこしく、ちょっとだるいかなぁ・・・って思ってたのが、終盤あたりから、「ヤバい、これ、めちゃくちゃ面白くなる」と感じてきました。 そして、ドイツの歴史を頭に入れて読んだ方が更に面白くなると思ったので、ドイツの歴史を勉強してから下巻、そして1933,1945にうつろうと思います!

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2020/09/27

1918年冬。第一次世界大戦下のドイツ帝国・ベルリン。ヘレのお父さんが片腕をなくして戦地から帰ってきた。一家の暮らしは苦しく、市民の間でも政府への不満が高まっていた。ヘレも市民革命に巻き込まれ、危険な任務をこなすようになる。皇帝が亡命し、革命が成功したかに見えたのもつかの間、事態...

1918年冬。第一次世界大戦下のドイツ帝国・ベルリン。ヘレのお父さんが片腕をなくして戦地から帰ってきた。一家の暮らしは苦しく、市民の間でも政府への不満が高まっていた。ヘレも市民革命に巻き込まれ、危険な任務をこなすようになる。皇帝が亡命し、革命が成功したかに見えたのもつかの間、事態は思わぬ方向へ。 あまり語られることのなかった近代ドイツの混沌を子どもの目線から描く傑作。

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2020/02/22

昨年にデビュー作の「オーブランの少女」、そして「戦場のコックたち」を読んだことで、お気に入り作家となった深緑野分(ふかみどりのわき)さん。 Twitterで、ご本人のアカウントをフォローさせていただいていますが、少し前からこの本を激推しされていて、オビの推薦文も書いておられるとい...

昨年にデビュー作の「オーブランの少女」、そして「戦場のコックたち」を読んだことで、お気に入り作家となった深緑野分(ふかみどりのわき)さん。 Twitterで、ご本人のアカウントをフォローさせていただいていますが、少し前からこの本を激推しされていて、オビの推薦文も書いておられるということで、発売日に書店を3軒回って見つけ、迷いなく手にとりました。 岩波少年文庫を買うのって何年ぶりかなぁ。 「ニールスのふしぎな旅」、「エーミールと探偵たち」、「名探偵カッレくん」、「レムラインさんの超能力」、「シャーロック・ホウムズ(←この表記がレアねww)」シリーズなどなどなど、小中学生の頃はよく読みましたが、50になろうとする年に買うとはいやはや。 さて前置きが長くなりましたが、本作はベルリンの貧しい通りに住むヘレという少年とその家族ゲープハルト一家を中心に、1919年、1933年、1945年といずれもドイツにとっての激動の年代を描く三部作の物語の第一部です。 1918年の11月革命による皇帝の退位とドイツ帝国の終焉〜ワイマール共和国の樹立、その後のスパルタカス団の蜂起と鎮圧の様子などが、生々しく臨場感たっぷりに描かれます。 それらと現在の僕自身を比べてみて、贅沢こそできないものの日々の食べる物には困らない生活、あるいは戦争とは無縁の生活のありがたさをヒシヒシと感じながら読み進めました。 少年向けというよりは、もう少し上のヤングアダルト世代向けに書かれているようですが、読みやすくかつ読み応えがあり、あらゆる世代の心にささる物語です。 革命が起こってから一区切りの終焉までという意味では、描かれる年代は異なるものの「小説フランス革命」を彷彿とさせられ、また第一次世界大戦と社会主義革命を目指す有志たちという観点からは、舞台となる国は違えど「チボー家の人々」を思い起こさせられました。 ここ1〜2年で読んだ別々の本のストーリーが、パズルのピースのようにカチカチとハマっていく感覚を味わえました。これも読書の醍醐味ですね。 第二部の1933が4月に、第三部の1945が6月に出るそうで、買い揃えることが確定しました。

Posted byブクログ