春に散る(上) の商品レビュー
登場人物の台詞や細やかな気遣いから、人間への愛が感じられます。裏切りや妬みなど人の嫌な部分はなく、安心して心地よく読書を楽しめる、そんな小説だと感じました。 不動産屋や小料理屋など、ふとした他人とのふれあいのシーンがとても素敵で、踏み込みすぎず、でも互いに良い印象を持つコミュニケ...
登場人物の台詞や細やかな気遣いから、人間への愛が感じられます。裏切りや妬みなど人の嫌な部分はなく、安心して心地よく読書を楽しめる、そんな小説だと感じました。 不動産屋や小料理屋など、ふとした他人とのふれあいのシーンがとても素敵で、踏み込みすぎず、でも互いに良い印象を持つコミュニケーションが自分なんかにはまだまだ真似のできない大人を感じさせる振る舞いです。 年を重ねることに不安を感じることが多い中、この小説からは希望を感じます。おじさんの夢が詰まっているとも言えます。 上巻の後半からは登場人物も増え、テンポも上がってきており、下巻を読むのがとても楽しみです。
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★評価は読了後に。 もしかするとこの作家のフィクションに分類されるであろう作品を読むのは初めてかもしれない。その感覚から読み終えた上巻、何だか肩透かしというか、言葉が悪いがそこいらにある小説家の手になるそれなりに楽しめる物語という感覚を拭いきれない。 下巻にそれを覆すものを期待し...
★評価は読了後に。 もしかするとこの作家のフィクションに分類されるであろう作品を読むのは初めてかもしれない。その感覚から読み終えた上巻、何だか肩透かしというか、言葉が悪いがそこいらにある小説家の手になるそれなりに楽しめる物語という感覚を拭いきれない。 下巻にそれを覆すものを期待しておりますが、ノンフィクションで感じた何とも言えない独特の寂寥感・孤独感がないんですよね。。。
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ボクシング小説だと聞いて読み始めたが「上」では、そんな場面などもほとんどなく、ボクシングを引退した後あまり芳しくない人生を送ってきた70歳手前のチャンピオンにもなれなかった元ボクサー四人が邂逅していく話だ。ほぼ同世代なので、その複雑な心情がしみじみと伝わってきてほろほろする。しか...
ボクシング小説だと聞いて読み始めたが「上」では、そんな場面などもほとんどなく、ボクシングを引退した後あまり芳しくない人生を送ってきた70歳手前のチャンピオンにもなれなかった元ボクサー四人が邂逅していく話だ。ほぼ同世代なので、その複雑な心情がしみじみと伝わってきてほろほろする。しかし、「上」の最期の最後に登場した半グレと一緒にいた若者が、この後の「下」巻を熱いものに変えていく。
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チャンピオンをあきらめた男が 日本に帰って チャンピオンを育てることをめざす物語 同年代だからか 胸が熱くなる作品
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かつて世界を目指したボクサーたちが、40年の時を超えて再び集まり、共同生活を行う物語でした。まだ、広岡の過去に謎が多く、今後の展開が気になります。ただ、人生の終盤に信頼できるかつての仲間と集まれることは、素直に羨ましかったです。
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深夜特急以来の沢木耕太郎さん。 映画化されていて、興味を持ちました。 映画は観ていないけれど、予告編で引退したボクサーが若いボクサーを育てるお話かな、と思ってました。 が、若いボクサーが出てこない…?? でも、チャンピオンになれなかったボクサーの事、しっかり書いてあって面白い!こ...
深夜特急以来の沢木耕太郎さん。 映画化されていて、興味を持ちました。 映画は観ていないけれど、予告編で引退したボクサーが若いボクサーを育てるお話かな、と思ってました。 が、若いボクサーが出てこない…?? でも、チャンピオンになれなかったボクサーの事、しっかり書いてあって面白い!これからどうなるの?と思っていたら、上巻の最後で若いボクサー登場! 下巻が楽しみです!
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映画になった様だが観ずに先ずは原作を読む。。 年老いて40年ぶりに出逢い且つ、同じ屋根の下で暮らす事になる深い絆で結ばれた男4人がちょっと眩しくもある。 昔ボクシングジムで四天王と呼ばれながら共に世界チャンピオンを目指した4人(広岡、藤原、佐瀬、星)が夢に破れ其々の道を歩み年月を...
映画になった様だが観ずに先ずは原作を読む。。 年老いて40年ぶりに出逢い且つ、同じ屋根の下で暮らす事になる深い絆で結ばれた男4人がちょっと眩しくもある。 昔ボクシングジムで四天王と呼ばれながら共に世界チャンピオンを目指した4人(広岡、藤原、佐瀬、星)が夢に破れ其々の道を歩み年月を重ねる。米国から帰国した広岡は、昔の友3人との再会を果たし其々の生活の苦境から一つ屋根の下で暮らし始めるまでの話。後半どう言った展開になるのか?非常に楽しみ。。 広岡はボクサーを世界チャンピオンを目指しながら米国に渡るも夢に破れ引退しそのまま米国でホテル経営をしていたが病を患い手術を迷いキーウエストに1人旅行に出かけその過程でふとやり残した事があるのでは?との自問から手術をキャンセルして40年ぶりに日本に帰国する。ふとしたきっかけで滞在ホテル近くの後楽園ホールに足を運びボクシングの試合観戦をし昔お世話になったジムで後を継いでいる令子と再会する。その再会がきっかけでジムの近くで不動産屋の進藤と事務員佳菜子の世話になりアパートを借りる。特にやる事も無く昔四天王と呼ばれていた友に遭う事を思い立ち先ず令子から聞いて刑務所に収監されている藤原に面会に出向く。藤原はもう直ぐ出所と聞きアパートに来る様伝え佐瀬の居場所を聞く、藤原との再会後、早々に東北の田舎に住むと言う佐瀬に逢いに探して再会するも厳しい生活を送っていた。佐瀬にも良ければ一緒にと誘い、毎年米を送って夫婦で飲み屋を営んでいると言う星の居場所を聞く。横浜の星の飲み屋を探し出し、飲み屋2階住居を訪ねるも奥さんを亡くしたばかりで悲しみに暮れる星と再会する。星にも良ければ一緒の暮らしを誘うも良い返事も無く戻る。藤原の出所前に手狭なアパートから広い家を佳菜子に相談して進藤から広い曰く付きの一軒家を紹介される。恐さ慣れしている元ボクサーなので家賃も安く気に入り契約して藤原の出所後、一緒に住み始める。そこに佐瀬が誘って来て星と共に訪ねて来て4人での生活が始まる。4人での生活の門出を佳菜子を交えて居酒屋で祝っていると若い4人に絡まれる。揉め事を嫌い店を出るも4人が後を付けて来て喧嘩を売られ返り討ちにするも中のボクサーらしき1人が対峙した広岡のパンチで頭を打ち寝込む。パトカーのサイレンが聞こえ逃げるものびている若者を置いて行けず抱えてタクシーに乗り病院に行くところで終える。 年老いた四天王のこれからの生活。。 広岡の体調。。 ボクシングとの関わり。。 後半色々な点で気になる展開だ。
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主人公は、かつてボクシングで将来を嘱望されるも、不公平な判定負けを契機に渡米した広岡仁一。米国で再起を目指すも叶わず、ホテル経営で成功し40年が過ぎていました。病を抱えながら、ふと唐突に帰国するところから物語は始まります。 ここから広岡は、自分の目的も判らないまま、記憶を辿...
主人公は、かつてボクシングで将来を嘱望されるも、不公平な判定負けを契機に渡米した広岡仁一。米国で再起を目指すも叶わず、ホテル経営で成功し40年が過ぎていました。病を抱えながら、ふと唐突に帰国するところから物語は始まります。 ここから広岡は、自分の目的も判らないまま、記憶を辿り過去をなぞり、導かれるように動きます。かつて試合をした後楽園ホール、ジム、更に四天王と呼ばれた仲間たちを訪ねて‥。 上巻は、このようにボクシング場面がほとんどなく、沢木さんが得意とする放浪の旅に近い旅情を誘う描写が多く、情景が目に浮かぶようです。 また、登場人物の描き分けが素晴らしく、それぞれ個性的で人間臭さが漂い、とても魅力的です。4人それぞれの人生が濃密に描かれ、物語を重厚にしていますが、会話も多くテンポよく読むことができます。 そして、離散、孤立、喪失、病苦と、それぞれ困難を抱え歳老いた4人は、広岡が新たな家を借り、リフォームして、再び共同生活を始めます。米国で財を成したとはいえ、広岡は何のために、なぜそこまでするのか‥。 広岡の性格・心情が緻密に綴られますが、その物腰の柔らかさ、人への配慮と佇まいなど、カッコよくて痺れます! 年配の方ほど、きっとその生き様に魅せられると思います。 4人の共同生活が、どんな方向に展開していくのか、下巻が楽しみです。
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ボクシング小説なのに、ボクシングの話が全然出てこず、上巻が終わる。 すごい試みやなと思う。 しかし、上巻で丁寧に人物描写してくれてるおかげで、入り込めたのは間違いない。 無駄に長く同じ言葉ばかり並べる作者もいるけど、沢木耕太郎は本当にさっぱりとしたシンプルな文面でサクサクと読める...
ボクシング小説なのに、ボクシングの話が全然出てこず、上巻が終わる。 すごい試みやなと思う。 しかし、上巻で丁寧に人物描写してくれてるおかげで、入り込めたのは間違いない。 無駄に長く同じ言葉ばかり並べる作者もいるけど、沢木耕太郎は本当にさっぱりとしたシンプルな文面でサクサクと読める。 かつて四天王と呼ばれたボクサーが歳をとり、将来有望なボクサーと出会い、それぞれの必殺技を伝授しながら成長させていく。 男が好きそうな物語。 よくボクシングのことも取材されてるなーと分かるボクシング小説だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前半のラスト10ページくらいまでボクシングは無し。それでも期待を込めつつスラスラと読めたのは筆者の力量か。映画は、未見も広瀬は佐藤浩市のイメージとは少し違うし、佐瀬と藤原が鶴太郎と哀川翔って違和感しか無い。
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