デイヴィッド・ルイスの哲学 の商品レビュー
久しぶりに可能世界と様相の本読む。知識、フィクションなど、様相論理の応用範囲の広さについての解説があり、例えば、懐疑論証や帰納の問題にも触れられているのが印象的だった。本書の本論ではないが、懐疑論証の説得力の高さは厄介だなと改めて感じた。
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現代の分析哲学における可能世界論の隆盛のいしずえを築いたデイヴィド・ルイスの思想を解説している本です。 ルイスは可能世界を「哲学者の楽園」と呼び、その「様相実在論」の立場からさまざまな哲学的問題についてクリアな見通しを示しました。本書では、こうしたルイスの業績のなかで、反事実的...
現代の分析哲学における可能世界論の隆盛のいしずえを築いたデイヴィド・ルイスの思想を解説している本です。 ルイスは可能世界を「哲学者の楽園」と呼び、その「様相実在論」の立場からさまざまな哲学的問題についてクリアな見通しを示しました。本書では、こうしたルイスの業績のなかで、反事実的条件文の分析や因果論、フィクション論、知識論などがとりあげられ、わかりやすく説明がなされています。 「分析哲学でときとして現れる論理式の乱舞は避けて散文でルイスの理論を紹介するように努めてある」と述べられているように、この分野になじみのない読者にとっても読みやすい本です。ただし、理論に対して反例が提出され、その後理論が洗練されてゆくという分析哲学でよく見られる議論のスタイルを踏みはずすことはなく、そうした議論のしかたに抵抗のあるわたくしのような読者にとっては、「様相実在論」の意義をもうすこし大胆に語ってほしいと感じられるところもあります。
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