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眞鍋呉夫全句集 の商品レビュー

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2024/08/15

小説家の真鍋呉夫は俳人としても名高い。幻想の世界に遊ぶ俳句は、しばし現し世を忘れさせてくれる。しかしその根底には、戦争体験や友の死という厳しい現実があった。「雪女見しより瘧(おこり)おさまらず」「若水の捩れて煙をあげにけり」「いのち得て戀に死にゆく傀儡かな」「朧夜の鬚根(ひげね)...

小説家の真鍋呉夫は俳人としても名高い。幻想の世界に遊ぶ俳句は、しばし現し世を忘れさせてくれる。しかしその根底には、戦争体験や友の死という厳しい現実があった。「雪女見しより瘧(おこり)おさまらず」「若水の捩れて煙をあげにけり」「いのち得て戀に死にゆく傀儡かな」「朧夜の鬚根(ひげね)がはえたドラム罐」「蹼(みづかき)の生えてめざめし月夜かな」「白魚の腸(わた)透き見ゆるあはれさよ」「春深くケサランパサラン増殖す」「雪女溶けて光の蜜となり」「われ鯱(しゃち)となりて鯨を追ふ月夜」「荒縄で己が棺負ふ吹雪かな」「死者あまた卯波より現れ上陸す」「雪女あはれみほとは火のごとし」「わが思ひ遥けしここに泉湧く」

Posted byブクログ