ななこSOS(完全版)(2) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ブックカバーに引用したのは最近復刻されたヴァージョンだが、私が読んだのは83年に出版された光文社コミックス版。表紙は同じだが復刻版は初出版のモノクロを雑誌掲載時のカラー版に戻しているらしい。 1巻の感想にも書いたけれど、吾妻ひでおは本当に美少女を描くのが好きだったのだろう。ななこの可愛さを引き立てるためだけにシチュエーションが決定されている。潔いくらいに分かりやすい。 本巻でもななこは小人になったり、旅芸人一座に紛れ込んだり、巨大な赤ん坊に母性を目覚めさせられたり、カウンセラー役がいつのまにかキャバクラのコンパニオンみたいになったり、スーパーモデルとなって水着ショーに出たり、ヨガ教室の室長になってあられもないポーズを披露したり、とありとあらゆる角度からコスプレに迫り、その可愛さを演出してみせる。 金に目のない四谷は、なぜかロリには興味がなく、またななこのロリはすれすれのところでエロを回避しており、そうしてななこのロリにひきつけられて集まってくるサブキャラたちもみんなどこか抜けていて、ここらへんを塩梅しながら物語を収めるバランス感覚が絶妙だ。 前巻に引き続きDr.いしかわがでてくる他に、大友克洋をモデルとした超能力研究者Dr.おおともも登場。 見返しのもくじのページに学生服を着たななこと四谷と水道橋を写したアルバム写真が描かれている。本作が描かれて40年近くが経ち、作者も世を去った現在、なんともいえないノスタルジーを呼び覚ます一枚だ。
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