四季の花 新装版(上) の商品レビュー

酒井抱一,鈴木其一,中野其明

2021/08/15

浮世絵版画が好きだ。中でも風景画と花鳥画。
肉筆画と違い木版画故に色数や描写には限りがあるが、そこがまた味わい深い。
植物の版画を辿って出会ったのがこの本。
酒井抱一や鈴木其一って琳派の絵師だと思っていたのに、この『四季の花』の絵はどう見ても版画。
この本の原本は明治後期に刊行されたものだという。
抱一、其一が残した植物画帖が明治後期の帝室技芸員の手元にあり、素晴らしい草木画を広めたいとのことで、更に其一の弟子の中野其明に図様の補填を依頼し最終的に一千種類の草花図が収録された版本がされたとのこと。
今では、どの図案が抱一によるものなのかは分からないそうだが、いずれの絵も琳派の叙情性に木版画の優しさが加わり心が和む。
図書館で借りた本だが手元に置きたい本だ。