ファミリーポートレイト の商品レビュー
大人になってから思い出す子供時代の想い出というのは、現実的ではなく少しお伽噺めいてる気がする。 コマコとマコの一番最初のポートレートは確証がない世界での過ごしてきた時間を表す唯一の証拠だったのかなと
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読書に耽る姿をこの世 の外にいると表現した 台詞にハッと。 それなら私はたびたび この世からはみ出てる ことになります(笑 でもまあ言われてみて そう違和感はないかな、 と。 朝陽夕陽のきらびやか な金色に照らされた、 この世ならぬ神々しい 景色と対峙して、 憂鬱をひと...
読書に耽る姿をこの世 の外にいると表現した 台詞にハッと。 それなら私はたびたび この世からはみ出てる ことになります(笑 でもまあ言われてみて そう違和感はないかな、 と。 朝陽夕陽のきらびやか な金色に照らされた、 この世ならぬ神々しい 景色と対峙して、 憂鬱をひととき忘れる ならいざ知らず、 食事はもちろん息する ことさえ忘れそうな私 (汗 また蜃気楼の逃げ水を 追いかける気の触れた 女の子が、 実態のないそれを延々 と追いかける子が作中 に登場しますが、 延々と本を追いかける 私の姿と重なるようで ハッと。 矛盾に満ちて歪んだ点、 その一点こそその人間 なのだ、なる一節にも ハッと。 ハッとの数々に星五つ です♪
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「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」と「私の男」を読んだ流れで読みました。 白昼夢のような話と現実離れした話が続きますが、果たして子供の頃の自分が感じたことがあるのではないか、あるいは同じ境遇なら駒子と同じなのではないかと思えてしまいました。 個人的なお気に入りは「豚の世界の女王」の冒頭です。駒子目線の精肉工場は、子供の頃に公設市場で遊んでいた自分と重なるという衝撃。桜庭先生は同じ体験をしたのか?と思うほどの生々しさ。 人には薦めないけれども、大好きな1冊です。
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原始・神話のような幼少期 退廃的な生活 貴方の小さな神様 長い物語だから、後半を読みながらあやふやな神話時代を思い出す、コマコの目線と同じようだった。 太郎の自殺未遂。人には人の地獄があり、世界は自分の苦しみだけではなかったと気づく瞬間。 赤い魚と、幼少期の海の街は、彼女にとって穏やかだったのではないか。解、どんな大人になったのだろうか、大人になれただろうか。 赤い魚から連れ去られるとき、波と真田のどっちが悪魔なんだろうな、と考える。 p.609「子供のころに…まちがった環境にいたり、普通とはがう育てられ方をすることってあるでしょ。そうすると、成人の心に必要なだけの自尊心を、自分のからだで自然に供給できない体質になっちゃうんだと思う。だからさぁ、立派な自分を、邪魔したくなるの。成功するのが後ろめたいの。でも、残念ながら、自尊心というサプリメントはこの世界のどこにも売ってないんだよね」 不幸なコマコで居続けなければいけない、成功とか幸せになんて絶対になってはいけない。そんなことないのに。 この母子のニュースをTVで見かけたとして、最悪な母、巻き込まれた可哀想な子供、という印象も持つだろう。私たちのような人間にはわからない世界から、普通の世界に連れ出すことが良い事なのか、彷徨い続ける彼女を見守ることが愛なのか。 コマコが父を恨まないのは以外だった。 愛の発見、幸福からの立ち直り 今まで考えたことはなかったけど、すっと納得した。
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愛をわからずに生きてきた人にオススメだと思います。物語を必要とする人に。 混乱します。読むのに気力と体力と想像力と時間が要り、とても疲れます。桜庭一樹さんの著作はいくつか読んでいて、それで読むことにしたのですが、読んだ中では一番重たい読み応えでした。 装丁というんでしょうか? 書...
愛をわからずに生きてきた人にオススメだと思います。物語を必要とする人に。 混乱します。読むのに気力と体力と想像力と時間が要り、とても疲れます。桜庭一樹さんの著作はいくつか読んでいて、それで読むことにしたのですが、読んだ中では一番重たい読み応えでした。 装丁というんでしょうか? 書店ではなく売出しのときについている鮮やかなカバーのことです。あれにある、あらすじ、すら、見ずに読むことを推奨します。 個人的には第二部の方が刺さりました。すごく良かったです。
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13年前に単行本で読んだときには後半の母を失ってからのコマコの章をあまり評価できなかったのだけど。 今回読み直してみて、ここには桜庭一樹が物語を紡がざるを得ない根源的なものがあるのだと思った。 マコのために生きてきた14年間、「母親」という嵐を全身で受け止め、その愛と憎の全てが自分の生存理由だと受け止めてきた年月を、倍の時間をかけて外に「物語」として吐き出す。 光の見えるラスト、なのだろう。でも私はここから始まる新しい地獄の予感に震える。 コマコが歩き始める新しい人生。同じことが繰り返される、きっと、と全身が粟立つ。
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なんだかもの凄いパワーを持つ小説だった 前半の母と娘のロードムービー風逃避行も面白かったが、 個人的には世界が広がっていく中で様々なモノを受け止め、壊し、産み出し、壊れ、また再生していくような後半の形容しがたい凄みにいい意味で絶句 共感はしにくい、というよりできるだなんて口が裂け...
なんだかもの凄いパワーを持つ小説だった 前半の母と娘のロードムービー風逃避行も面白かったが、 個人的には世界が広がっていく中で様々なモノを受け止め、壊し、産み出し、壊れ、また再生していくような後半の形容しがたい凄みにいい意味で絶句 共感はしにくい、というよりできるだなんて口が裂けても言えない、 ぶっちゃけよく分からない主人公の独白が続くような文体なのだけど、 表現の面白さと勢いの良さにぐいぐい引き込まれる 常に切っ先を喉元に突きつけられるような読書体験で、少々疲れた クライマックスは未知の感動を覚える
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面白かった。 構成もテーマも良かった。 ただ、私自身の問題なのかもしれないけど、現代小説を最近楽しめない。問題が過剰に強調されている気がする。中学生の深夜に描いた日記を読んでいるような、深い悩みと苦悩、それを助長する舞台設定。そして、それを克服する救いの言葉、シーン。 子供の頃に...
面白かった。 構成もテーマも良かった。 ただ、私自身の問題なのかもしれないけど、現代小説を最近楽しめない。問題が過剰に強調されている気がする。中学生の深夜に描いた日記を読んでいるような、深い悩みと苦悩、それを助長する舞台設定。そして、それを克服する救いの言葉、シーン。 子供の頃に読んだらハマったかも。 面白いとは思う、けどハマれない。
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読後どっと疲れを感じた。 読みながらも、かもしれない。 私の心の琴線に触れたのか、何を感じ取ったのか、とても切なくなり、孤独を感じた。 それを共有したいのではなく、何も言わずに誰かに縋りたくなった。 体温を感じて丸まって抱きついたまま眠りたいと思った。 作者の命を削って絞り出す...
読後どっと疲れを感じた。 読みながらも、かもしれない。 私の心の琴線に触れたのか、何を感じ取ったのか、とても切なくなり、孤独を感じた。 それを共有したいのではなく、何も言わずに誰かに縋りたくなった。 体温を感じて丸まって抱きついたまま眠りたいと思った。 作者の命を削って絞り出す言葉達が、物語はこうして造られていくのだと、思い知らされて打ちのめされた。 ひとつの体の中にもうひとつの体が芽生えて育つ、その過程を経て、もうひとつの命が生み出される。 その時点でもう別の個体であり、別の人生となる。 共依存の関係で、捻れて拗れて歪んでいたとしても、きっとそれも愛だったのだと思う。 そういう愛し方しか知らなかったのだから。 憎むでも恨むでもない。 お互いにお互いがすべてだったのだから。 その為に存在していたのだから。
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「幸福から立ち直らなくてはならない」 母親マコと娘コマコの10年、その後のコマコの20年の物語。 コマコの20年は、瞬間的なオアシスがあっても、ずっと荒野にいる感覚。 それをコマコの独特な感性の視点で描かれる。 ラストシーンでコマコは泣く。30年の時間が一気に押し寄せる感覚になって、流れゆく時間に想いを馳せた。
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