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乳母車/最後の女 の商品レビュー

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2022/06/05

もっとも肌に合う青春小説。しっとりと、しかし激しく人の内面を感じられる狡賢い駆け引きではなく「無意識」にも似た直情的な愛が描かれている。

Posted byブクログ

2020/03/28

ここ一年ほど、昔よく読んでいた石坂洋次郎のことが気になり出して、全集はないかと探したりしていたのだけれど、全集は出ておらず、昔よく読んでいた新潮文庫のシリーズも入手が楽ではない状態になっていて、「あ、石坂洋次郎って忘れられた作家になってたんだ」と気づかされた。 そんな折、三浦雅士...

ここ一年ほど、昔よく読んでいた石坂洋次郎のことが気になり出して、全集はないかと探したりしていたのだけれど、全集は出ておらず、昔よく読んでいた新潮文庫のシリーズも入手が楽ではない状態になっていて、「あ、石坂洋次郎って忘れられた作家になってたんだ」と気づかされた。 そんな折、三浦雅士氏が編集した短編集と、評論がここへきて続いて出版されていることを知った。 本短編集の表題作の乳母車」は、かつてーー30数年前ーー読んだ時も「続きが読みたい」と思わされた記憶が薄らとある作品だったけれど、そのほかの作品には馴染みがなかった。当時の僕は、長編好みで、短編には興味があまりなかったのだ。 今回、久しぶりに石坂作品を読んで、自分の記憶の中の石坂作品とのーー良い意味でのーー印象の違いに驚いた。「乳母車」に関しては、当時の自分の読後感が蘇ったが、他作品から受けたのは、どこか「都会的」「先進的」「民主的」な陽性のイメージだった石坂作品の土台にある、地域性、土着性、あるいは母系の情念の様なものの強さだった。 このところ改めて石坂洋次郎の作品に関心を持ったのは、戦後の作家と思っていた彼が戦前から、戦後に繋がる作品を描いていたことを偶然知ったことによるのだけれど、大ヒット作「青い山脈」に描かれた戦後の民主主義と女性の権利の主張のようなものの背後にある、大地に根付いたものに対する羨望や、それゆえの「ブレない」テーマに、気づかされた。もちろんそれは三浦氏の絶妙なセレクションのゆえとは思うが。 まだ、同時期に出版された彼の評論は読んでいないが、読むのが楽しみである。 これを機に石坂作品の再評価が行われ、全集が編まれたりすれば、僕としては嬉しい限りなのだが。

Posted byブクログ