平安初恋艶絵巻 桜の貴公子となでしこ姫 の商品レビュー
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素であんな王子様な台詞を何の嫌味なくさらっと言える公達とか反則だろうと言う。 中将様に「王子様」と言うのも何なんだけど、歯の浮く台詞を自然と言えてしまうのが本当に凄い。 他の女性は突っ撥ねる硬派な男性なのに、いざ撫子を前にすると意外に堪え性がなくて手が早いそのギャップもいい。 撫子限定なのですね、分かります。 真面目な男性が、好きな人を前にすると豹変する展開、凄く好みです。 対して撫子。 物語を読み込む所謂文学少女な姫君だけど、好きな人に対しては結構行動力がある恋する乙女。 但し企みは悉く成功しないけれど。 罠をはっても、所詮浅知恵なので、彼女の思う方に転がらず、寧ろ予想を上回る展開になるという。 最初の「罠」云々のすれ違いは、どうなるんだとハラハラしたけど、撫子が処女なのが分かってからの中将の動揺っぷりが可愛くて大変悶えた。 大丈夫、彼女はそういう面では初心で無知な子なので、いい意味で。 そんな政治的駆け引きのできる子ではありません。 撫子には、そういう結構子どもっぽいところがあって、そこもまたいいギャップなのだが、無垢ゆえに知らず中将を煽っていることに気付かないあたり天然小悪魔である。 でも、ちゃんと男性を虜に出来る女性でもある訳で……育っているところはしっかり育っていた模様。 最初から両想いではあるのだけれど、撫子の変な暴走っぷりと、彼の立場の難しさもあって、結ばれるのは随分後になってからのこと。 この時代、三日通えば夫婦だから、そう簡単に懇ろな関係になる訳にもいかないだろうが。 作中で中将も言っていたけれど、随分焦らされる羽目になった。 寸止めや邪魔が入るの何回ありましたかね。 中将殿が気の毒になるほど。 その分、ちゃんと憂いなく結ばれたことは、本当に喜ばしいことだった。 気付いたら、彼の身内の害悪が排除されていたし。 よかった、よかった。 ラストはまさかの意外な展開もあって、ああ彼は本当に桜野の中将殿だったかと納得させられた。 これもまた平安時代ならではな展開かと。 桜と撫子の恋物語、これからの時期に読むにはぴったりのお話でした。
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