ニューロダイバーシティと発達障害 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
以下、興味を引かれたエピソードの抜粋。 他の障害に比べ発達障害の発生率が高いのは、大昔はその特異な能力が社会に必要とされていたからではないか、という意見になるほどと思いました。 ラスコーの壁画は動物の絵は非常に繊細に描かれているが、人の絵は同じ人が描いたとは思えないほど稚拙になっていて、これは自閉症者に通じるところがあり、自閉症者が高層ビルやロボット、鉄道に興味を持つのも、その時代のトレンドである物に惹かれるから。 エジソンが小学校を三ヶ月でやめされられたことを多くの伝記では母親が元教師だったからなどと現実とは違うことを書いてでも無理やり正当化している。 この本のすべての事例で、学校教育が役に立っていないが、伝記としてはそれでは困るから多くはそのように美化されている。 グラハムベルは人とコミュニケーションを取ることが苦手だったがろうあ者の女性に思いを伝えたい一心で発明に打ち込み、その第一弾として電話を発明した。 電話はろうあ者には役に立たなかったが、社会で予想外の反響を巻き起こした。 結局、思い通り結婚することは出来たが、妻との良好なコミュニケーションをとることはできなかった。 要は、それまでコミュニケーションが取れなかったのは妻がろうあ者であることてはなく、ベルがアスペルガーで他人の気持ちを理解することが苦手だったから。 離婚はしなかったが、ベルは死ぬまで孤独に生きた。 非常に悲しいエピソードだった。 今は発達障害者にとって生きにくい世の中。 昔なら『異能の才』とされていたものがその能力を生かす場がなくなってきている。 発達障害者は音や色彩に敏感な人が多いが、現代のの機械音や派手な看板などで埋め尽くされている街はかなりのストレスとなっているはず。 モーツァルトのエピソード中に、『からすたろう』という絵本の話が出てくる。 この絵本の先生のような人がもっと社会に増えればいいのにと思う。
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