イケア イングヴァル・カンプラード の商品レビュー
フレドリック・コルティング、メリッサ・メディナ文、ジョルダーノ・ポローニ絵、石崎洋二訳『世界の大起業家から学ぶ (3) イケア イングヴァル・カンプラード』(岩崎書店、2019年)はIKEAの創業者イングヴァル・カンプラードを紹介する絵本である。「世界の大企業家から学ぶ」シリーズ...
フレドリック・コルティング、メリッサ・メディナ文、ジョルダーノ・ポローニ絵、石崎洋二訳『世界の大起業家から学ぶ (3) イケア イングヴァル・カンプラード』(岩崎書店、2019年)はIKEAの創業者イングヴァル・カンプラードを紹介する絵本である。「世界の大企業家から学ぶ」シリーズである。 本書は子ども向けの絵本である。私の子ども時代ならば偉人伝が相当する。所謂偉人ではなく、創業者を取り上げられるところに時代の変化を感じる。世のため人のためを前面に出すのではなく、ビジネスによって消費者の課題を解決することに価値を見出す。公共意識よりも、ビジネス感覚が求められる。子どもに読み聞かせる親も共働きが当たり前になった現代ではビジネスパーソンであることが多い。昭和の偉人伝よりも親の仕事にもヒントになる。 IKEAも素敵な家具を手頃な価格で提供するところに価値がある。家具を小さく平たい部品にして消費者が簡単に持ち帰り、自分で組み立てられるようにするフラットパッケージによってコストを削減し、低価格で良い品を提供できるようにした。値段と品質が比例するという情報弱者の拝金主義を否定する。これはイングヴァルの生活にも当てはまる。経営者として成功した後も、服や食事など生活は質素を好んだ。「飽食の時代」「消費は美徳」という昭和の価値観は虚しいだけである。 家具を自分で組み立てる点は消費者に余計な手間をかけ、サービス低下に見える。しかし、それくらいは自分でやりたいという消費者がいる。日本では「いきなり!ステーキ」がヒットしたが、それは消費者が自分でステーキの焼き加減を調整できる価値があるためである。
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