GENESiS 白昼夢通信 の商品レビュー
創元と関係が深い作者の作品を編んだSFアンソロジー。もっとも気に入った作品は松崎有理さんの「瘦せたくないひとは読まないでください。」だった。肥満の人には人権がないかのように扱われる健康先進国の日本で、デスゲームが行われる。肥満の人が5人選ばれて、食事をしたら殺されるゲームだ。極端...
創元と関係が深い作者の作品を編んだSFアンソロジー。もっとも気に入った作品は松崎有理さんの「瘦せたくないひとは読まないでください。」だった。肥満の人には人権がないかのように扱われる健康先進国の日本で、デスゲームが行われる。肥満の人が5人選ばれて、食事をしたら殺されるゲームだ。極端なシチュエーションであるが、健康も行きすぎるとデストピアになる警鐘だろうか。エッセイの「アンソロジーの極意」を読んで、アンソロジーの楽しみ方を少し理解できた。
Posted by
どうしてみんなうなじにケーブルを接続したがるのか。脳に近いから?攻殻機動隊の見過ぎ? 地獄を抜い取る、モンステリウム、痩せたくない〜が好き。
Posted by
東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。...
東京創元社のSFアンソロジーの二巻目。二〇一九年十二月刊行。まだコロナ禍やリモートばかりの生活を知る前の作品だけど、「あれ、なんだか今っぽい」と感じられるものもあって、フィクションの奥深さを思った。一巻を読んだときに比べて私のSF受容力も上がったのか、どれもそれぞれ大変楽しめた。 ■高島雄哉『配信世界のイデアたち』 昔、かこさとしの『ほしのほん』シリーズを読んで、宇宙には「銀河」というものがたくさんあるということを知ったとき、もしかしたらはるかかなたの銀河のどこかに、私みたいな女の子がいて今同じように宇宙の本を読んでいるかもしれない…という想像をした。そんなことを思い出した。 ■石川宗生『モンステリウム』 物語の舞台がいつのどこなのかよくわからないが、町に巨大な怪物が現れ、何もせず立っている。それは異常事態として始まったけど、いつしかそれも日常になる。そしていつか終わるが、日常は続く。私たちの日常力は、意外と強靭だし、意外と滋味深い。 ■空木春宵『地獄を縫い取る』 近未来のアメリカ。首筋のスロットにケーブルをつなぐことで他人の感覚や感情をも追体験できる、そんな世界で、二人の女性が、小児性犯罪者摘発のための囮となる少女AI開発プロジェクトに取り組んでいる。一方、室町時代の日本。遊女の閨房で、遊女の体に地獄絵図を縫い取る謎の客人。この二つの場面が交わったときには、火の鳥異形編をちょっと思い出した。これはSFなどという括りを越えて読まれるべき作品では。揺さぶられ度はピカイチ。 ■川野芽生『白昼夢通信』 そうか白昼夢か。幻想的に滲む色彩が美しかった。思い浮かぶのはラヴェルの水系ピアノ曲…。 ■門田充宏『コーラルとロータス』 ここでパキパキわかりやすい作品になって安堵。アンソロジー楽しい。さて、ここも、うなじのスロットに様々な装置を挿し込める世界。精神的支配や共依存の蟻地獄に巻き込まれた憧れの同僚を、世間では一般に障碍と思われている過剰共感能力を用いて救い出す、心理学系ヒーロー(女性だけど)SF。短さと痛快さと頬の赤らめぶりに、走れメロス味もある。 ■松崎有理『痩せたくない人は読まないでください。』 ダークなのにユーモアがあって、リアルなのに虚構めいてて、センス抜群だなあ。前作に比べるとオチがいまいちな気はしたけど、もっと読みたい。 ■水見稜『調律師』 小説のかたちをした音楽論みたいなところはあるが、やっぱり生身が一番という感覚。
Posted by
なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。 2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。 第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。 「おまかせ...
なんか最近、アンソロジーばっか読んでるような…。 2019年12月刊行の日本SFアンソロジー。短編7編とエッセイ2編が載っています。 第1集の『一万年の午後』のレビューで書いたのですが、ちょっと良いレストランで頼む「おまかせコース」がまさにアンソロジーだと思います。 「おまかせ」とは言え、オードブルからデザートまで全てパイ包み焼きだったらイヤだし、全部がココナッツ風味だったらもっとイヤな訳です(笑 たとえ、どれも単品としては超美味しかったとしても! その意味では編集者(本著エッセイで言うところの「アンソロジスト」)の役割は非常に大きく、しかも料理とは違って、「これはケーキだからデザート」的な情報は当然無い訳ですし、そもそもデザートが最後とも決まっていない訳です。 本著は、何と言うか…そこらへんの並びが非常に良く、飛び抜けた1皿は無くても、バランスの良いコースで、そこにまずお見事感がありました。 その上で、個人的に好きな1編を挙げると、「痩せたくないひとは読まないでください。」でした。 ※第1集のレビューで挙げた1編と同じ著者さんだったコトには今見返して気付いたので、自分はこの著者のスタイルが好きなのかもしれません。長編読むか…。(というコトに気付けるのもアンソロジーの良いところですね(気に入った著者の名前くらい覚えとけというツッコミもありますが…)) 99%あり得ないだろうと思う未来の社会。でも、1%くらいあり得るんじゃないか、と思わされるのが面白いところ。本編では、「太ってると会社を辞めさせられ、殺されかける社会」という、恐ろしいながらも完全にあり得ないとは言い切れない気がするもの。 文章に通底する雰囲気がどうにもユーモラスで、少しブラックユーモアっぽい感もあるのですが、同時に考えさせられるというのが、個人的にツボでした。 続巻も読んでいきたい、良質なアンソロジーだと思います。
Posted by
SF。短編集。シリーズの2年目。 前年よりは好みの作品は少ないけど、このシリーズ大好き。 珊瑚のシリーズ短編、門田充宏「コーラルとロータス」が一番好み。 水見稜さんの作品を初めて読めたのも収穫。 石川宗生さんも相変わらず独特の雰囲気で好印象。
Posted by
東京創元社の書き下ろしSFアンソロジーGenesisの2作目。収録作の中でいちばんかっこいいタイトルをそのまま表題に据えるという方針は潔くて好き。 これに限らず創元社の自社のSF 短編新人賞出身者に発表の場を積極的に提供しようという姿勢は応援したい。 収録作の中では石川宗生「モン...
東京創元社の書き下ろしSFアンソロジーGenesisの2作目。収録作の中でいちばんかっこいいタイトルをそのまま表題に据えるという方針は潔くて好き。 これに限らず創元社の自社のSF 短編新人賞出身者に発表の場を積極的に提供しようという姿勢は応援したい。 収録作の中では石川宗生「モンテスリウム」がわりと好みだったが、全体的にあまりしっくりこなかった。読みやすいアンソロジーではあると思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
オリジナルアンソロジーの第2巻。『白昼夢通信』というサブタイトルも良いが、収録されている短編の方も良かった。 因みにこのサブタイトル、集まったものの中から一番カッコイイものが選ばれるそうな。確かにカッコイイというか、物凄く読みたくなる。
Posted by
- 1