『ポーの一族』と萩尾望都の世界 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この価格でこの内容の濃さ。 文庫で萩尾望都を追いかけてきて、あーカラーで見てみたいな、あーいい印刷で見てみたいなと思っていた。 その思いの蓄積があるせいか、一枚一枚の原画に込められた情報量(絵自体の情報量、ストーリーを想起できる情報量)に触れるたび、涙腺に来る……! 特に来たのは、 ・28p 「ペニー・レイン」冒頭のカラーの妖しさ。 ・35p 「ランプトンは語る」の絵。 ・44p 「おぼえてるよ魔法使い」のページの原画!!!!! ・82p 「トーマの心臓」の予告カット。目を伏せたユーリの顔。本編ラストを思い出す。鮮やかな昼かと思っていたが、夕焼けという見方もできるのか? ・85p から始まる「トーマの心臓」の冒頭。雪の美しさと大きな判型による迫力。 ・104p 「湖畔にて」読みたかったんだ。 ・110p 「訪問者」の扉。おーっ、オスカーのマフラーってこんな色合いだったのか! カラーで見てようやく窓とカーテンの構図に気づく。 ・131p 「ゴールデンライラック」は色がついてこそ。いやモノクロでも色を想像できる絵? ・144p 「半神」の予告カット! これは初めて見たが、美しすぎて。 ……厳選して以上。 「ポーの一族」「トーマの心臓」それ以外の代表作、という3部構成も割り切っていてよい。 そしてそして! なんと萩尾望都の家に何十何百もあるというスケッチブックをプチ再現した冊子! まずは印刷技術の凄みを見た。 裏表紙にはコップか何かを置いた痕跡まで(バーニー・トーピンが「ユア・ソング」の歌詞を書いてエルトン・ジョンに渡した紙にはコーヒーの染みがついていたという連想)。 鉛筆の線も美麗なのだが、筆でざっくり描かれた絵も鮮やか。 この本が素晴らしすぎて「萩尾望都SFアートワークス」も勢いで買ってしまった。
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