プロレスラーは観客に何を見せているのか の商品レビュー

TAJIRI(著者)

2020/01/08

元WWEスーパースター、
「THE JAPANESE BUZZSAW」ことTAJIRIの書いた本。
これまで何冊か著作があり、その文章力には以前から
定評があったプロレスラー。

今回はTAJIRIによる「プロレス論」。
プロレスとはこういうモノ、であるが故にこうした方
が良い、的な指南書、と言って良い。本気でプロレス
ラーを目指している人は一読しておいた方がいい。

･･･何故に読んでおくべきなのか？だが。
基本、プロレスはやる方も観る方も本来は自由なハズ。
僕もTAJIRIの語る理論が正直正しいとは思わないし、
彼が思うプロレスよりも好きなプロレスのスタイルが
ある。だからコレは全否定されてもしょうがない本で
もあるのだが･･･。

大きいのは、コレを書いている人が今現在でいちばん
WWEで活躍した日本人プロレスラーであること。
カブキやムタのような「見た目」のギミックにほぼ頼
らず、英語を全く使わず、等身大の日本人として自ら
のキャラクターを確立した。これは他の誰も文句の言
えない実績であり、だからこそ「教科書」になり得る、
と判断すべき。

そしてプロレスをやる気の無い僕にも興味深い内容と
なっており、読み応えはかなりのモノ。相変わらず面
白い文章を書くプロレスラーです、この人は。

そんなTAJIRIもそろそろキャリア末期。
今後どういう方向に行くのか、ちょっと注目しておき
たいと思います！

2019/12/25

WWEで活躍されていたTAJIRIさん。現時点での彼自身のプロレスに対する考え方を述べた一冊。
自分が見ていたのはWWEとハッスルの頃。そこについての章がやはり興味深く楽しく読めましたね。自分自身が熱狂した感情を生み出してくれた、与えてくれた側からのお話なので。

いろいろ思ったのですが、まえがきやあとがきでちょっと炎上したコメントについては、額面通りのことしか受け取らないからだと思います。それは、その瞬間でしか接していないからではないでしょうか。継続的にか、少し遡ってみれば、言いたいことが通じるのではないかな、と思います。

ま、この本読んでからの感想なので、そう思うわけです。時分は状況がまた違う。

自分にとってプロレスラーというのは、夢を見て夢を魅せる職業。自分も周囲も巻き込んで、日常とは別世界へと連れて行ってくれる娯楽です。それが＝「楽しいこと」ばかりでないのが、抜け出せない泥沼へと導く要素。プロレスの未来とは、で述べていたことには激しく同意です。

人生はずっと修行。いい言葉です。この一言を肝に銘じて日々過ごすことができれば、人間は変わってゆけるはず。
若者に読んでほしいよね。そう思うのは、おっさんになったからだよなぁ。

なーに、修行終えた気になってやがるんだ、って話です。