贄姫と獣の王(特装版)(12) の商品レビュー
凱旋の儀という明るい話題から国交樹立交渉という難しい問題へ映っていき、はっきりした明暗を示している12巻 これまでも何回も議論に上ってきたサリフィを公儀の場に出して良いのかという問題が66話で再び繰り広げられる しかし、これまでと少し違うのはアヌビスが強硬に反対せず、サリフィも...
凱旋の儀という明るい話題から国交樹立交渉という難しい問題へ映っていき、はっきりした明暗を示している12巻 これまでも何回も議論に上ってきたサリフィを公儀の場に出して良いのかという問題が66話で再び繰り広げられる しかし、これまでと少し違うのはアヌビスが強硬に反対せず、サリフィも表に出ないと宣言する点 これまではある程度サリフィが表に出る必要がある場面でこの問題が持ち上がってきたのだけど、今回は必ずしもサリフィの存在は必要ではない。そしてアヌビスは王の意思に任せるつもりで居る なら、ここで焦点となってくるのはレオンハートが大多数の自国民とサリフィを比べどのようなバランスを最適と思うのか サリフィを取り戻す為に戦ったという意識が強すぎた事で一時はバランスを失った考え方をしていたレオンハートがサリフィの言葉によって正しいバランスを取り戻す描写は良いね アーサーの話はちょっと浮いている部分もあるけど、一般市民から見てレオンハートがどれだけ偉大な王様と見られているのかがよく判る そしてアーサーがそのように語っているからこそ、王様を見られる折角のチャンスを棒に振ってまでサリフィの指輪を取り戻した彼の優しさと決断力がよく伝わってくる話になっているね 作者が物語は肝の部分に入っていくと述べているようにこれまでより踏み込んだ物語になりそうな69話からのエピソード 本作って魔族と人間が存在する作品であり、サリフィとレオンハートの間には種族の違いが存在するのだけど、最近は物語の舞台がほぼ魔族の国だったものだからその点がクローズアップされることって殆ど無かったんだよね それがレオンハートが人間の国との正常な国交樹立を望むことで人間と魔族という関係の在り様が注目されていく 普通の感性を持つ魔族達は人間の国と国交を、しかも対等な立場で持つ必然性なんて感じない。大臣たちが反対するのも当然だし、アヌビスもすんなりとは賛成できない。賛成派に見えるラントも相互不可侵の掟の危険性を理解しきれていない 逆に人間であるサリフィはレオンハートが望んでいることの重要性も判るし、人間と魔族の国の間で自分にしか出来ないことも見えてくる ただ、サリフィ一人だと出来ることも限られるし、送り出す決意ができない。そこで双方のバランスを取るように聖獣のベンヌの存在が活きてくる展開は良いなぁ そして人間の国をサリフィは訪れることになったのだけど…… あのオセロットは何処まで信用できる存在なのだろうね?今の所はサリフィの行動を極端に否定するようなことはしていないけど…… 魔族と人間のバランスが焦点となるこのエピソード。 なら、人間と魔族のバランスを取り持とうとするサリフィが主役となるのは当然なんだけど、もう一方の当然としてレオンハートの出生も絡んでくるのか 色々な意味で根深い話となっていきそうだ
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激しい戦いの後、サリフィは大切な王様のために新たな一歩を踏み出す。指輪とカモノハシの話も素敵だった。
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