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ごろごろ、神戸。 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2024/08/17

ちょびっとずつ、じっくり噛み締めながら読んでいくのが楽しいエッセイ集。その他大勢の地方都市と同じようにキレイに整地されていく神戸より、かつての賑わいの記憶を残しつつも人と一緒に年をとっていく神戸のほうが良い、というこの人の感情はものすごくわかる。けど実際問題、自分のような子育て世...

ちょびっとずつ、じっくり噛み締めながら読んでいくのが楽しいエッセイ集。その他大勢の地方都市と同じようにキレイに整地されていく神戸より、かつての賑わいの記憶を残しつつも人と一緒に年をとっていく神戸のほうが良い、というこの人の感情はものすごくわかる。けど実際問題、自分のような子育て世代が、後者のような場所に好き好んで住むかというと、正直難しいと思う。レトロブームなんてのは観光における一面でしかなくて、土地に根付いて生活するにはノスタルジーでカバーしきれない便利さや快適さが必要だろう。でも、そんな風に色を失っていく神戸も寂しいと思う自分もいるから、この本に出てくるお店や場所をを片っ端からGoogleマップに登録している。

Posted byブクログ

2022/10/19

まえがきに書いてあったとおり、枕元に置いて、好きなときにちびちび読んでいたら読み終わるのに3年もかかってしまった。 どのエッセイもすごく好き。引用される作品の幅の広さと、ときどきふわっと浮遊する詩的な文章がとても心地いい。 観光客として、神戸のきれいな面しか見ていなかったけど、...

まえがきに書いてあったとおり、枕元に置いて、好きなときにちびちび読んでいたら読み終わるのに3年もかかってしまった。 どのエッセイもすごく好き。引用される作品の幅の広さと、ときどきふわっと浮遊する詩的な文章がとても心地いい。 観光客として、神戸のきれいな面しか見ていなかったけど、この本を読んでもっとディープな面も知ることができ、ますます神戸のことが好きになった。

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2022/02/14

「七人の侍」で菊千代こと三船敏郎が、野武士に火を放たれて炎上する農民の家から幼子を抱きかかえて救い出したときの一言-「こいつは俺だ!」 -菊千代が実は焼け出された子どもと同じ貧しい農民の出であり、なぜ野武士を目の敵にするのかを観客に印象付ける名シーンだ。平民金子さんの文章を読んで...

「七人の侍」で菊千代こと三船敏郎が、野武士に火を放たれて炎上する農民の家から幼子を抱きかかえて救い出したときの一言-「こいつは俺だ!」 -菊千代が実は焼け出された子どもと同じ貧しい農民の出であり、なぜ野武士を目の敵にするのかを観客に印象付ける名シーンだ。平民金子さんの文章を読んで、ミフネと同じセリフを叫んでしまった。それくらい彼は私と似ている。 どこが似ているかと言うと- まず40歳を過ぎたエエ年になってから子どもを授かったところ。そして体力的にしんどいなと思いながら、子育てに四苦八苦しているところ。 さらに「人付き合いが苦手」で「スターバックスとサブウェイには一人で入ったことがない。注文の仕方がややこしそうで店員に話しかけるのがおそろしい」というところも一緒。私の場合ココイチも苦手。辛さをどうするかとか何とか店員からマニュアルの一本調子みたいな早口でまくし立てられたら、話しかける以前にできるだけ早くその場を立ち去りたい気分になると思うけどな。 ところで、私が平民金子さんを知ったのは、朝日新聞(大阪版)の月イチ連載「神戸の、その向こう」に目が留まったからだ。 連載ではさすがに個人商店や市場ばっかり巡っていなくて、もうちょっとみんながわかるような神戸について書いているし、子どもも(現時点で)小学校入学直前にまで大きくなっているけど、テイストは連載もこの本も基本的には同じ。連載でも「誕生日は誰ともしゃべらずに過ごす日だと思うから、岸壁で海を見た」(2022.1.24)みたいな、しびれるフレーズが見られてうれしくなる。 一方で私は大阪で生まれ育ち、小学生のとき、たまにホルモンの串にささったやつを鉄板からひょいとつまんで取り、食べながら歩いたクチ。当時ホルモンとキモと串は2種類あって1本10円やった。10円やから小学生でも買えた。(オイルショックで1本20円になったときはショック!) 彼がすごいのは、私のように過去の話をノスタルジックに語るんじゃなく、現在進行形で「ホルモン的」なモンを発見しているとこ。こういうモンは太田和彦さんとかの年代の人でないとなかなか目がいかないと思っていたけれど、私より年下の彼の嗅覚はその意味ですごい。 では、ノスタルジーではなくて平民金子さんは何をこれだけのボリュームで書きたかったのか?私なりにまとめると- 1人の人間が友だちがいなくてしゃべる相手もいなくて、そんなときSNSでつながるのは簡単やけど、つながりとかが何となくジャマクサイこともある。でも神戸の街を少しぶらっとするだけで、1人の気楽さをキープしながら、誰からもイイネと強制されずにエエなと思えるものが見つけられる、そのドキドキ感やと思う。 エエもんちゅうてもそんな大層じゃなく、例えば、ちょっと何かおいしいもんでも食べよかと思って初めての個人食堂に入ったら、客なんか全然いてなくて、その代わりにネコが椅子に丸まって寝てたのを見つけたときの感じ。 つまり“よそいき”でないもの。 写真で撮られることを全然意識していない、写真映えのするもの。 商売なのに商売っ気を感じさせないもの。 そして子どもにだけでなく大人や、そのサイフにまでやさしいもの。 そんなとこかな。

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2021/12/31

神戸で子育てしているおじさんのエッセイ。関西に10年住み、まさにいま子育てしているから何度もうなずきながら、時々声を出して笑いながら読んだ。もっと力抜いて子育てしていいかな。

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2021/04/23

父親の育児評価は0点が基本からの加点方式。 母親の育児評価は100点が基本からの減点方式。 なぜだろう。 もっこす板宿店に行きたくなりました。

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2021/03/16

神戸にいきたくなった。この本をガイドにぶらぶらしたい。市場や自然の山海、施設、食べ物。知らないことが沢山!

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2020/12/13

神戸で子育てにがんばる主婦の日常エピソードかと思ったら、酒飲みの人が乳母車やおんぶしながら幼児と神戸のローカルエリアを回りながら色々と考えるお話だった。 何も得ることがなかった、とは言わないけど、かなりの分厚い本だけど「神戸、子育てしやすいのかー」くらいしか覚えてない。 だが、...

神戸で子育てにがんばる主婦の日常エピソードかと思ったら、酒飲みの人が乳母車やおんぶしながら幼児と神戸のローカルエリアを回りながら色々と考えるお話だった。 何も得ることがなかった、とは言わないけど、かなりの分厚い本だけど「神戸、子育てしやすいのかー」くらいしか覚えてない。 だが、2年位の連載の間に著者の子供がきちんと成長していき、親としての寂しさも赤裸々に描いているので、こっちにも伝染ってしまう。 エッセイのほとんどは、ただただ神戸をぶらぶら歩き、B級グルメ的なものを食べ、酒を飲み、子供を遊ばせているだけなのに、たまにすごくノスタルジックな一編が出てきて思わずグッと来る。 そんな内容なので、おそらく意図していないだろうが読み続けても飽きが来ず、一気に読めてしまった。 神戸で子育てしたくなる。

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2020/06/05

2019年刊行。初出は、神戸市のWEB広報である。それをA面として、A面を振り返る書下ろしのB面という構成となっている。A面は、発表媒体の性格上、表現できることと表現したいことのせめぎ合いを感じる文章である。著者は、訪れた場所をどんな風に経験し見つめているのか記すとともに、そのま...

2019年刊行。初出は、神戸市のWEB広報である。それをA面として、A面を振り返る書下ろしのB面という構成となっている。A面は、発表媒体の性格上、表現できることと表現したいことのせめぎ合いを感じる文章である。著者は、訪れた場所をどんな風に経験し見つめているのか記すとともに、そのまなざしは一体何なのかと何度も問い直す。表現のニュアンスが正確ではないが、バランス感覚の見事さを読んでいて感じた。一方、B面は、金子さんの人柄がぐっとわかる、そんな文章だ。彼のような人物がいるということに気持ちが明るくなった。 本書はまちづくりの参考文献にもなるだろうし、子育て日記としても読める。個人的に響くものがあった。良いか悪いかは別にして、全体を通して統一感はあるのだが、元々独立して掲載されたこともあって、一編毎のまとまりがはっきりとしているため、読書体験としての没入感に物足りなさを感じる。

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2020/02/08

新開地の南側、2号線を越えた東川崎にある「稲荷市場」。現在はホルモン焼き・お好み焼き・漬物屋など数店舗が営業を続けるのみ。その寂れ感の醸す佇まいに魅了された著者は、2015年妻と神戸に移住することを決める。神戸に越して誕生した子どもと犬をベビーカーに乗せ、毎日街へ繰り出す。 本...

新開地の南側、2号線を越えた東川崎にある「稲荷市場」。現在はホルモン焼き・お好み焼き・漬物屋など数店舗が営業を続けるのみ。その寂れ感の醸す佇まいに魅了された著者は、2015年妻と神戸に移住することを決める。神戸に越して誕生した子どもと犬をベビーカーに乗せ、毎日街へ繰り出す。 本書は神戸で出会った人・店・味・風景…。様々な事象から得た発見や感動を綴る極私的街歩きエッセイ。日に日に成長していく我が子、一方で衰退を辿る街。悲喜こもごもなコントラストをすくい取っていく筆致は、神戸の街を知らない人も素直に感情移入できるだろうし、450頁の大部なれどすいすいと読み進められるはず。また下町好きの人にとっては格好のガイドブックになると思う。 著者が惹かれた神戸市兵庫区界隈。そこで生まれ育った僕にとっては、新開地・福原・湊川界隈の所謂「B面の神戸」に向ける思いは複雑で近親憎悪に似た思いが入り交じる。 幼稚園は湊川商店街のど真ん中にあったみなと幼稚園。お年玉を握りしめてパークタウンのおもちゃのまつやへ。人生で初めて買った五木ひろしの「横浜たそがれ」はトミヤレコード。マクドはないけどドムドムがダイエーにあり、地下のスナックコーナーでは「パンチ焼」と称するお好み焼きにマヨネーズを付けて食べることを知った。自宅近所のつぼ焼き屋「大谷」では夏でも長袖着用のおっさんがうなぎ釣りに熱中してた。クリスマスの時期はクラッカーの紙屑が街に溢れ、松竹座楽屋前の空き地で野球してる横を敏江玲児やフラワーショーが通り、ミナエンの那須模型近くの本屋は丸坊主でもエロ本を売ってくれた。 本書にはこのB面の神戸界隈がこれでもかというぐらい登場する。著書が愛してやまない稲荷市場にも縁がある。当時勤務していた広告代理店が震災で被災。神戸新聞会館から移転したのが東川崎。先年閉店した喫茶ベニスや立ち飲みヤスダヤに通っていた。 とうに忘れかけていた街や店の近況を、神戸に移住された方からそれも本で知らされ、妙な感じだし、懐かしさと寂寞感に包まれた。近々久々に歩いてみよ。 ベビーカーを押しながら、港でチューハイを飲みながら、考えたこと思い出したことを綴る神戸の無頼派広報ブログ。笑いとほのぼのさ、時に切なさも混じる。 読み終えたばかりなのに即再読してしまった、 すっごく味わい深い一冊であった。

Posted byブクログ