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キッドの運命 の商品レビュー

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2020/01/09

6つの近未来短編。どう紹介すべきか、かなり困ってしまいます。 共通した背景は2度目の地震と原発事故によって壊滅しつつある日本。それをベースに各短編で遺伝子工学、生殖技術、ロボット、AIなどを扱います。各短編の世界感のつながりは極めて弱く、背景だけは共通。その為に却って中途半端感が...

6つの近未来短編。どう紹介すべきか、かなり困ってしまいます。 共通した背景は2度目の地震と原発事故によって壊滅しつつある日本。それをベースに各短編で遺伝子工学、生殖技術、ロボット、AIなどを扱います。各短編の世界感のつながりは極めて弱く、背景だけは共通。その為に却って中途半端感が有ります。 全体的には技術革新に対してネガティブなディストピア小説です。とは言え、優れたSF小説の様に一つの近未来を構築して見せるようなリアリティは無く、寓話という見方でも強いメッセージ性を感じられません。中島さん自身がインタビューで言っているように「ふだん目にする情報や身近な話題の中からひっかかってくるものを」テーマに「自分の心配や、あるいは若干の希望を織り込みながら、『こんな未来を考えてみた』」という作品です。そうなるとSFでとも言えず、さらに中途半端な感じがします。その上に基本的にディストピアを描いているため、中島さんの最大の長所と言うべき「不思議な可笑し味」があまり出て来なのです。 と言うわけで、それなりに面白く読めるのだけど掴み所の無い作品。そんな感想です。

Posted byブクログ