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写真集 まれびと の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2023/04/05

SANDAの理解の補助になるかと読了。普通の人がある瞬間に神になる大変にいい写真集でした。「サンタクロースとは対極の招かれざる神」なんてフレーズがあった日にゃもう創作者ならここをつなげたいという気持ちは分かるな・・・とちょっとだけ受容の気持ちが芽生えた。

Posted byブクログ

2021/07/14
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※このレビューにはネタバレを含みます

写真家・石川直樹さんが”まれびと”を写した写真集となる。 日本列島を北と南に分け、古くから伝わる伝統行事で現れる神や聖人を撮影しており、図鑑のように各地域のまれびとが紹介されていて興味深い。 いつかその地を訪れてみたいと思うような一冊。 ”下甑島のトシドン。 3体が居間に揃うと、その家の子どもが起立して歌を一曲歌わされ、歌い終わると餅を背中に載せて四つん這いになって運ばなくてはならない。餅を落とすとトシドンに怒られ、最初からやり直しだ。 言葉にならない声をあげながら闇の中を歩くトシドンと、その声が聞こえた瞬間から泣き叫ぶ子どもたちの姿が、今も目に焼き付いて離れない” 悪石島のボゼや宮古島のパーントゥはビジュアルが強烈な印象だが、なんと言ってもこの写真集を読んでみて僕が一番気に入ったのは下甑島(しもこしきじま)のトシドン。 トシドンの声が聞こえた瞬間から子どもが泣き叫ぶにも関わらず、家に上がり込んでくると一曲歌わされ、餅を背中に載せて四つん這いになって運ばされ、餅を落とすと怒られる。 子どもにとって、その恐怖と非日常体験は一生忘れないだろう。

Posted byブクログ

2021/03/29

日本の客人神の本。 実際の行事風景を収めた写真集と解説。 おもしろいし、実に興味深い。 装束も簡易化されたりしてきたのだろうが、昔の「もっと怖かった神」を見てみたい。 近年では一種のポリコレ的潮流で「子供に不用な恐怖心を植え付ける」として客人神の振舞いを制限させる流れもあると聞く...

日本の客人神の本。 実際の行事風景を収めた写真集と解説。 おもしろいし、実に興味深い。 装束も簡易化されたりしてきたのだろうが、昔の「もっと怖かった神」を見てみたい。 近年では一種のポリコレ的潮流で「子供に不用な恐怖心を植え付ける」として客人神の振舞いを制限させる流れもあると聞くが、これは恐怖ではなく畏怖であり、人知では抗えない「畏怖」の核を現世の人間の心の底に収めることが必ずしも悪いこととは思えない。 少子化で客人神の行事が絶えてしまうというのは大きな損失だ。 私が地元出身の男で酒に強かったら是非とも神に扮してみたかった。

Posted byブクログ

2020/07/07

「まれびと」とは異界からやってくる異形の来訪神を指す。国文学者・民俗学者の折口信夫によって提唱された。折口によれば まれと言ふ語の遡れる限りの古い意義に於て、最少の度数の出現又は訪問を示すものであった事は言はれる。ひとと言ふ語も、人間の意味に固定する前は、神及び継承者の義があった...

「まれびと」とは異界からやってくる異形の来訪神を指す。国文学者・民俗学者の折口信夫によって提唱された。折口によれば まれと言ふ語の遡れる限りの古い意義に於て、最少の度数の出現又は訪問を示すものであった事は言はれる。ひとと言ふ語も、人間の意味に固定する前は、神及び継承者の義があったらしい。其側から見れば、まれひとは来訪する神と言ふことになる。ひとに就て今一段階測し易い考へは、人にして神なるものを表すことがあったとするのである。人の扮した神なるが故にひとと称したとするのである。 ある決まった時期、決まった日に、異界から現世を訪うものがある。元々は人が扮しているのだけれども、異様な衣装を身に付け、怖ろしい仮面をつけたその瞬間、何かが憑依したように、「それ」は人を超える。 日本の各地にそうした風習が残っており、年に一度、例えば大晦日、例えば小正月、村の各戸を訪れ、子らを泣かせ、人々に祝福を与え、歓待を受け、やがてまた異界へと戻っていく。 これはそうした「まれびと」を追う写真集である。 大きく、南と北に分けられ、南は九州や沖縄の島々、北は北陸から東北に掛けて、併せて20の地の「まれびと」が現れる。鹿児島悪石島のボゼ、下甑町のトシドン、沖縄石垣島のアンガマ、男鹿半島のナマハゲ、新潟村上のアマメハギ、岩手三陸のスネカ。名も扮装もさまざまな異形のものが練り歩く。 著者の石川直樹は写真家であり、かつ民俗学にも深い関心を持つ。 石川の写真は、単なる旅人の目線ではなく、祭りの内側に入り込み、その空気を捉えるかのようである。「まれびと」自体だけでなく、その地の風景、祭の準備の様子、泣き叫ぶ子供たち、供応する老人たちがフィルムに収められる。 石川による各章冒頭の短文に誘われ、読者は各地の「まれびと」に出会い、「まれびと」が纏う空気に呑み込まれる。 連綿と受け継がれていた来訪神行事の向こう側に、古代からの人々の祈りや畏れが見えてくるようでもある。 巻末に、伊藤俊治、安藤礼二による論考を付す。

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