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セラピストの技法 新版 の商品レビュー

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2020/05/12

東先生の単著を読むのはセラピスト誕生に続いて2冊目くらい。有名だから知っているふりをしてたけど、実はそこまでちゃんと読んでなかった。 それでもミーハーなので、学会で東先生のワークショップがあるとついつい選んでしまうのだが、去年「無人島に持って行くならこの一冊」…じゃなかったかな、...

東先生の単著を読むのはセラピスト誕生に続いて2冊目くらい。有名だから知っているふりをしてたけど、実はそこまでちゃんと読んでなかった。 それでもミーハーなので、学会で東先生のワークショップがあるとついつい選んでしまうのだが、去年「無人島に持って行くならこの一冊」…じゃなかったかな、「著作を一冊だけ残すならこの一冊」だったかな、と言っていたので期待して購入。(ちなみにワークショップはいつもめちゃめちゃ語りが面白くていつも圧倒されて帰ってくる) さて、さすがにブリーフを中心に学んでいるとSA(システムズアプローチ)もなじみ深くスイスイ読めはする。ただ『読んで分かる』ことと『自分でできる』ことには絶望的な隔たりがある。 特に東先生のユーモアに溢れた闊達な喋り口、その場の空気をコントロールしているけれどそれが決してパターナリスティックにはつながらず安心感をもたらす自然なジョイニング、一見奇抜に見える介入を自ら信じて成り立たせる(こう言っていいか分からないが)自己一致は、月並みな言葉だが凄すぎる天才のなせるわざに見える。自分には一生手が届かないような。 ただ東先生の面白いところは、時間に沿って東先生自身が変化していることが外からも見えるところだと思う。変化して行き着いた先の景色を紹介しているのだから、そりゃその時点での最新作が一番のおすすめになるわなと。そのさらし方はとても正直な生き方だと思う。その正直さに勇気をもらって凡人も進むしかない。 P循環・N循環の話ははじめ聞いた時はうさんくさく感じたけれど、この本を読んで少し自分にとっての納得のかけらが見え始めた。 ちなみに、『漫画でわかる家族療法』と重なっているケースについては、漫画が俄然分かりやすい。『漫画で〜』の凄さも改めて実感することになった。

Posted byブクログ

2020/05/01
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※このレビューにはネタバレを含みます

「システムズ・アプローチ」と呼ばれる方法論を用いたセラピーについて、実践的に記された専門書。 「『問題』は単なる意味づけ・ラベリングの一つに過ぎ」ない、「『問題はない』『問題の人はいない』と、本気で、考え」る、という態度を、セラピーの基本に置くのは面白い。著者は時に仏典を重ねながら、その態度について説明しているけれど、確かに諸行無常や諸法無我の境地に似たものがあるのかもしれない。 「原因がわからなくても解決できる方法はあ」る、とし、過去や責任は問わず、眼前の人間の悩み方のパターン、また眼前の人間同士の関係性のパターン等に働きかける、というのは建設的で頷きやすい方法だと思う。 ただ、著者もこの方法の適応において「虐待が疑われるなど、一部例外はあ」る、と触れているように、独創的で効率的な面接方法であるがゆえに、介入的なアプローチに切り替える必要が出てきたとき、(眼前の人間やその家族等の生命・身体に危機が疑われ「問題はない」と言い切れなくなった瞬間)スイッチをスムーズに切り替える必要もまた意識すべきだろうと感じる。

Posted byブクログ