“よむ"お酒 の商品レビュー
お酒が好きと思ったことはなくて、お酒好きの人がどんなことを考えているのか知りたくて手に取った。 味にも多少のこだわりはあるものの、ふわふわとした酩酊感を長く味わいたい、炭酸の喉ごしを味わいたいという思いが強いことが分かった。 2人とも明るく呑気なお酒飲みだと思うが(大きな声で怒鳴...
お酒が好きと思ったことはなくて、お酒好きの人がどんなことを考えているのか知りたくて手に取った。 味にも多少のこだわりはあるものの、ふわふわとした酩酊感を長く味わいたい、炭酸の喉ごしを味わいたいという思いが強いことが分かった。 2人とも明るく呑気なお酒飲みだと思うが(大きな声で怒鳴ったり怒ったりしない)お金がない時は、何かのカードのポイントを使ってでも飲むという執念には驚かされた。
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こんなにもひととなりがよく似ていてウマの合う赤の他人がいたものだ。2人のライターが交代で書いているのだがもうどちらが書いているかわからない・・・ 単に酒の飲み方が合うというだけではない、2人の間に通底する絶対的な信頼感と安心感、そこからくる機嫌のよさが感じられるので読んでいて心地よい。なんだかとてもうらやましい。 P012 「店で頼んだ800円のチューハイの中身が、明らかに「氷結」でも怒りませんもんね」「まあそう。にやにやしちゃうほうですね。」「うーむ・・おかわり?」「俺、おかわりしたよ!1600円だって!と、なんでも楽しいですよ。まあその店には二度と行かないけれども。一度でいい面白さってある」 P048 父も最近ではめっきり酒が弱くなってきた。親戚たちと久々に集まってもまだ宵の口で寝床に引き上げていくことも多い。なるほど、そうか、と私は思う。私の番が近いのだ。【中略】そこで私ができることといえば酔ってへろへろになること。 P053 酒の会話の一つの究極が「目の前のものの感想を言う」じゃないかと思っています。 P062「最終的に当人たち同士はいい話風にまとめたけど、あとの全員不快なんですけど!っていう、いわば「不快イ話」 P074 (ベテランサーファーが)危なく死ぬところだった友人に向かって「サーフィンをやめないで。この経験で絶対にうまくなるから」と言葉をかけたという。そんなことを思い出した。悪いのは酒じゃない。バランスを取りそこなった自分なのだ。そして酒を飲んでいるとそんなことがたまにある。 P092 大型フェリーこそ最高の居酒屋だと思っている。【中略】缶ビールもスナック菓子もせいぜい地上より50円高いぐらいである。それで海が見放題だ。そしてこの居酒屋もまた信じられないことに勝手に目的地まで連れて行ってくれるサービス付きである。と、安い高いって本当に考え方次第だよなと思うのである。 P154「無意識のうちに行きたい店とあんまり行かなそうな店を仕分けてる。例えば”割烹”とか言われるとちょっと見えなくなりますよ。」「見えないなー。ただ”スタンド割烹”になると見える。」「見える。」 P155「店員さんが座っている店、いい。」「座るって本当にすごいですね。」 P170一生懸命飲んでいると、変なことが起きたりするものである。 P174 撮影用の水にホッピーを継ぎ足したものなんて、この世で一番かわいそうな飲み物じゃないですか。やっぱりここは焼酎で割ってあげないとせっかくこの世に生を受けたホッピーが浮かばれないよ。 P227「ホッピーの外だけってあれはアルコール度数約0.8%なんですね。」「そうなんすよね。わりと酒。」【中略】「カンダ」ってメーカーの一升瓶のエキス。俗にいう「下町ハイボールに入ってる謎のエキス」炭酸水にちょっとたらして P259(前飲み)このあと生ビールで乾杯するとして、その時点で今日二杯目のビールとなると感動が薄れてしまい「あれ?この人、一杯目のビールに対する感動が薄い人なのかな?それともつまんないのかな?」と思わせてしまう。それは相手に悪い。なのでなるべく素っ気ないチューハイとお新香もしくはらっきょうあたりの軽いもので一杯やる。 P277 (スタンディング鍋)食べ終わったらコンロから鍋を持ち上げ、数秒のうちにシンクにおいて洗い始めることができる。クラブのたとえでいうなら、パーティが終わった!音が止まった!という次の瞬間、もうその床に敷いた布団の中にいるみたいな感じだろうか。 P301 「”粒子とは、比較的小さな物体の総称である。大きさの基準は対象によって異なり、形状などの詳細はその対象によってさまざまである”粒子でした謝ります」「人それぞれでいいのか」「大柄な人にとっては唐揚げだって粒子だろうし。」「”君にとってそれは粒子なの?”そこから開ける世界がある。」 P365 「何かに追われるように飲む」というのも、たまにであれば、スパイスのように人生を彩るものである。
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豆知識とかうんちくとかではなく、他愛もない話題がメインでその気楽さがとても良かったし、筆者ふたりが本当に飲みが好きなんだというのが伝わってくる。酒場を縁に友人とか遊びの輪が拡がっていくのっていいよね。
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酒エッセイというジャンルは、好きな人にはたまらないけれど、要らない人にとっては存在感が謎だと思います。 人が酒飲んで酔っ払っているところなんて見たってしょうがないじゃん。という事に集約され、全くですねとしか言いようのないジャンルであります。 しかし、これが心癒され、ささくれた心が...
酒エッセイというジャンルは、好きな人にはたまらないけれど、要らない人にとっては存在感が謎だと思います。 人が酒飲んで酔っ払っているところなんて見たってしょうがないじゃん。という事に集約され、全くですねとしか言いようのないジャンルであります。 しかし、これが心癒され、ささくれた心が滑らかになり、人にやさしくなれる素晴らしい代物なのであります。 そんな中で新進の気鋭「パリッコ」「スズキナオ」のユニット「酒の穴」の二人の豪華リレーエッセイであります。 一番にはチェアリングという、好きなところに椅子を持って行って、そこをリビングのように腰を据えて酒を飲む。という誰もやっていなかったけれど、言われてみれば絶対いいだろうと一発で理解できる新しい遊びを開発したことが挙げられます。 柔軟で、権威に踊らされることは無いけれど、豪華なのは豪華で喜びそうで、缶詰でもカニカマでもうまい棒でも、それぞれの良さを感じながら飲んでそうな所が本当にいい。 憧れの居酒屋とかあるはあったけれど、彼らの活動を見ていると自分でいい店や、いい飲み方を見つけて楽しむべきだなと思います。 こうでなければダメとか、渋くないとつまらないとかではない、風流を自分の中から探しだす感じとでも言う感じでしょうか。 二人の文章が交互に読めるので、当然比較になるのですがどちらも柔らかく、断定せず目線に愛情が有るので、どことなく空気感が似ています。二人と一緒に飲んでいるような気持になりながら読める本です。まさによむお酒です。
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もともとネット上のcakesで連載していたパリッコさんとスズキナオさんのリレー形式のお酒を巡るエッセイ。 多く飲めればいいとか、失敗談を自慢のように語るとか、はたまたスノッブにどのウイスキーがうまいとかいう旧来の酒飲みの話ではなく、いかに居心地よく、気持ちよく、美味しくお酒を飲む...
もともとネット上のcakesで連載していたパリッコさんとスズキナオさんのリレー形式のお酒を巡るエッセイ。 多く飲めればいいとか、失敗談を自慢のように語るとか、はたまたスノッブにどのウイスキーがうまいとかいう旧来の酒飲みの話ではなく、いかに居心地よく、気持ちよく、美味しくお酒を飲むかという令和のお酒との付き合い方を示す一冊となっている。 例えば、 ・終電を逃したときにどうするか ・おつまみは粒子状のものがいいのではないか、しらたきがいいのではないか ・フェリーの移動時間や、池袋などの都会の隙間で飲むのがいい ・粋な飲み方とは、節酒にいい飲み物とは など、あれ?わりとどうでもいい話題ばっかりだな。
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