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フシノカミ 辺境から始める文明再生記(1) の商品レビュー

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2020/02/04
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 本好き主人公が本を好き放題読める環境(または快適な現代文明の恩恵に預かれる環境)を目指して頑張るファンタジー物語である。  ネット小説の書籍化作であり、ちなみにネット版はすでに完結している。  辺境の寒村に生まれたアッシュは前世での豊かな生活を覚えていて、豊かな生活を復興させるために古代文明の再生を目指し、まずは村の教会で本を読み、村の生活を豊かにすることを企てる。  その村での生活が描かれたのがこの一巻であり、火の玉小僧のアッシュの大暴れに村の人々が巻き込まれ、徐々に豊かになっていくさまが描かれている。  物語世界には魔物が存在するファンタジーな舞台であり、この巻も含めて度々戦闘も描かれる。  内政で得た産物を用いて立ち向かう様は、正しく内政チート的であり、小賢しい口の上手さなども含めてこの物語ジャンルにふさわしい体裁が整えられている。  シンプルに良作と言っていい作品だろう。書籍化にあたって【横顔 マイカの角度】という形で別視点を加えている点でも、加筆はかなりの量である。  ただ、この辺の視点変更は、物語のテンポをやや重くする部分はあるので、好みは分かれるかもしれない。  一方で、終盤に村を離れることになった彼の墓標を前にした別れの挨拶は一見の価値のある加筆である。  巻末に描かれたヒロインの母・ユイカの視点である【横顔 ユイカの角度】もまた味わい深い。  個人的には寒村暮らしの主人公のキャラグラ(主に服飾面)に疑問も残ったので、星半個差し引いて星四つ半相当と評価している。  イラストについては、これはもうライトノベルとしての華が重視された形だろうが、やや世界観的にはアンマッチだった印象ではある。

Posted byブクログ