このあたりの人たち の商品レビュー
川上弘美さんの掌小説。 初めは、単なる子供の頃の記憶を描いたものなのだろうかと思っていた。 語り手は、大人とはちがった目線でものごとを感じているようだし、妙に古臭いような懐かしいような匂いがする。 もしかしたら、ここに出てくる同級生や近所に住むおばさんやおじいさんは、自分が子供...
川上弘美さんの掌小説。 初めは、単なる子供の頃の記憶を描いたものなのだろうかと思っていた。 語り手は、大人とはちがった目線でものごとを感じているようだし、妙に古臭いような懐かしいような匂いがする。 もしかしたら、ここに出てくる同級生や近所に住むおばさんやおじいさんは、自分が子供の頃に出会ったことがあるのではないかと錯覚しそうなくらい現実的に思える反面、それは噓やろってツッコミを入れたくなるような非現実的な世界も混ざっていて、不可解すぎて面白い。 「スナック愛」のおばさん、不良になったかなえちゃん、長屋に住んでるタクシーのおじいさん、アメリカ帰りの川又さん一家など、この連作を読み進めるうちに、このあたりの人たちから抜け出せなくなってくる自分がいました。 この本にはひみつがたくさん隠されています。 かなえちゃんのお姉さんが、そのひみつを一番よく知っていたのではないかと思います。 不穏で温かで、ほんとうに不思議な魅力をもった本です。
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夢のような非論理的ストーリーだが、所々話が繋がる瞬間が面白い。この感覚はこの本でしか味わえないのでまた読みたい。
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すごく不思議な本。 淡々と、どこかの誰かの生活を覗き込んでいるみたいな。 文章はさらりと流れるようなのに、書いてある人達が現実では無さそうな、でも実はどこかに本当にあるのかも、と思わせるような妙なリアルさがあって不思議な感覚だった。 内容は全然そんな事ないはずなのに、なんだか少し...
すごく不思議な本。 淡々と、どこかの誰かの生活を覗き込んでいるみたいな。 文章はさらりと流れるようなのに、書いてある人達が現実では無さそうな、でも実はどこかに本当にあるのかも、と思わせるような妙なリアルさがあって不思議な感覚だった。 内容は全然そんな事ないはずなのに、なんだか少しグロテスクさを(私は)感じてしまうのはその妙なリアルさからなのかなと。
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不思議な感覚。 まどろみの中で見る断片的な夢のような。 眠気の中でうつらうつらしている時に出てくるおかしな夢を見ているようなそんな面白い読書体験でした。
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とても短いお話がいくつもあります。 全てその街の人たちのお話。 雰囲気は昭和で、幼い頃千葉県船橋市に住んでいた頃のことをイメージしながら読んだら、あながちあり得ない話でも無いんじゃないか?と本の世界に入っていけました。 空想というか夢の中というか嘘というか、そんな雰囲気。 今の私が住んでいる「このあたりの人たち」だって、全然知らないってだけで、将来 駅前に銅像になって立っているかもしれないね。そんなことを最寄駅まで歩きながらぼーっと考える、日常が本に侵される感じが良いです。
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そこには、大統領もいて、小学校も地下シェルターもNHKもある。町の誰も行くことのない「スナック愛」、六人家族ばかりが住む団地の呪い、どうしても銅像になりたかった小学生。川上弘美が丹精込めて創りあげた、不穏で、温かな場所。(e-honより)
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※このレビューにはネタバレを含みます
・表紙と挿絵が近藤聡乃さんで素敵。話の雰囲気にぴったりでした。 ・ひとつのお話は4ページくらいで終わる掌編小説ですが、登場人物が繋がっていたりするので、書き下ろしの最後のお話まで続けて読むと長いひとつの話にも感じました。 ・ひとつの町で収まっている話のようで、広い場所での物語にも感じました。同級生や自分の近くにいる他人の話がでてくるので◯◯町での出来事と思いきや、SFのようなもっと大きなスケールの話もあり、その範囲をしっかり説明してないため『このあたり』という題名が絶妙だと感じました。 ・『事務室』と『運動会』が好きです。
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掴みどころがなく、不穏なかんじがずっとするけど可愛い。よく分からないけど心地はよい話。不思議なおとぎ話だけど、確実な筆力があるからこそ、ふわふわしすぎないのがよい。
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カテゴライズする意味は無いと思いますが。 大人の童話なのかな? 内容はとても不思議な話なんだけど、 まったく想像できない話ではい。 考えつく、思いつくことはできないけど。
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私にはまだ早かった。鳩泣病とかはいって手を挙げて叫んでたら教室の窓にヒビが入ったとか全然意味が分からなかった。この本の良さが分かる日は来るのだろうか
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