聖者のかけら の商品レビュー
言語学者で有名な川添先生の長編小説。なんと十三世紀のイタリアの街で聖者の遺物探偵のお話とは…。ベネディクト会の修道士であるベネディクトは修道院長から、修道院に持ち込まれた遺物はどの聖者のものなのかを探すように命じられた。今まで修道院の中から外に出歩いたことの無いベネディクトはどう...
言語学者で有名な川添先生の長編小説。なんと十三世紀のイタリアの街で聖者の遺物探偵のお話とは…。ベネディクト会の修道士であるベネディクトは修道院長から、修道院に持ち込まれた遺物はどの聖者のものなのかを探すように命じられた。今まで修道院の中から外に出歩いたことの無いベネディクトはどうしてよいか戸惑ったが、院長から村の助祭のピエトロと一緒に行くようにと言われた。世間知らずで堅物なベネディクトの人生を変えるような冒険が始まった。
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聖フランチェスコの聖遺物をめぐる歴史ミステリ。 ベネディクトとピエトロはアッシジに向かい謎をといていく。 キリスト教の背景が理解できていた方がより理解が深まり楽しめると思うが、なくてもミステリとしては十分。 厳しく戒律を守ろうとするベネディクトと聖遺物を商売にしている助祭ピエトロ...
聖フランチェスコの聖遺物をめぐる歴史ミステリ。 ベネディクトとピエトロはアッシジに向かい謎をといていく。 キリスト教の背景が理解できていた方がより理解が深まり楽しめると思うが、なくてもミステリとしては十分。 厳しく戒律を守ろうとするベネディクトと聖遺物を商売にしている助祭ピエトロの関係も注目。
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中世イタリアを舞台にしたミステリー。修道士と聖体を巡る凄い作品。これを日本人が書いたのも凄いと思った。薔薇の名前と共にもう一度読み返したい作品だった。
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著者の本は好きなので特に何も考えず本書も手に取りました。本書は小説形式ですが、これまでの小説ように、言語理論を小説仕立てにしているわけではなく(例:白と黒のとびら)、中世イタリアを舞台にした純粋小説のように見受けられました。ここで「見受けられた」と書いているのは、もしかすると1度...
著者の本は好きなので特に何も考えず本書も手に取りました。本書は小説形式ですが、これまでの小説ように、言語理論を小説仕立てにしているわけではなく(例:白と黒のとびら)、中世イタリアを舞台にした純粋小説のように見受けられました。ここで「見受けられた」と書いているのは、もしかすると1度読んだだけではなかなかわからない著者の真意があって、それは言語学とも関係しているのかな?と深読みしてしまいました。 ネタバレになりますのであまり書きませんが、本書の舞台は13世紀イタリアのキリスト教会にもかかわらず、私は本書の各所から何か日本的、仏教的なエッセンスを感じました。仏教においても仏舎利なるものがありますし、本書の各所に示される、「いま=ここ」を重視するような記述です(これは禅などに典型的に見られる特徴です)。本書を全て読み終わった後に、なにか仏教とキリスト教の融合的なイメージが頭の中に浮かび不思議な気持ちになりました(これは一般的な感想ではないと思いますが私はそう感じました)。また本書では、言語ではなくイメージ(映像)が非常に重要な役割を果たします。言語は所詮断片的な情報しか運んでおらず、イメージ(映像)は大量の情報を含んでいるわけですが、これも私の妄想でしかありませんが、言語コミュニケーションの次のテレパシーコミュニケーションのようなものを想像しました。 つまり本書の著者が言語学者である、ということを前提に読み進めると、ストーリー展開においていろいろな想像が湧いてくるわけです。なぜ言語学者が言語的な暗号ではなくイメージ(映像)を重要なモチーフにしているのか、といった具合です。そういった意味でも本書はミステリーな本でした。面白かったです。
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13世紀のヨーロッパ。聖者の骨や愛用品が聖遺物として大切にされていた時代。純真無垢に戒律を守ろうとする修道士ベネディクトと、物事を功利的に考える助祭ピエトロの二人が中心となって、消えた聖人の遺体を探すことになる。聖人が身近だった時代。奇蹟が目撃され、信じられていた時代。宗教の派閥...
13世紀のヨーロッパ。聖者の骨や愛用品が聖遺物として大切にされていた時代。純真無垢に戒律を守ろうとする修道士ベネディクトと、物事を功利的に考える助祭ピエトロの二人が中心となって、消えた聖人の遺体を探すことになる。聖人が身近だった時代。奇蹟が目撃され、信じられていた時代。宗教の派閥争いも背景にして、ミステリとしても面白かった。
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史実を基にされているとのことだが、13世紀のキリスト教、しかも修道会の権力争いをベースにしつつ、聖遺物をめぐるミステリーとしてここまで書き上げたのが、学者とはいえ日本人ということにまず驚いた。無宗教の人が大半の日本で、そもそも修道会がどういったものか、どういう位置付けの組織なのか...
史実を基にされているとのことだが、13世紀のキリスト教、しかも修道会の権力争いをベースにしつつ、聖遺物をめぐるミステリーとしてここまで書き上げたのが、学者とはいえ日本人ということにまず驚いた。無宗教の人が大半の日本で、そもそも修道会がどういったものか、どういう位置付けの組織なのかを事前に詳しくわかってる人はあまりいないのではないか。かくいう私もあまりわかっておらず、途中で調べながら読み進めたが、ぶっちゃけ調べなくとも物語としては問題なく読める(ただ、わかってた方がより深く物語に没入することができる)。 主人公ベネディクトは修道院という狭く閉ざされた環境で育ったが故に、非常に視野・思考が狭く、頑固なくせに純粋で、心が剥き出しのまま守る術を持たないような感じでいる人物。一方、準主人公のようなピエトロは助祭という神職にありながら聖遺物を売買しており、抜け目がなく、一見するとベネディクトとはまるで正反対、生きている世界まで違うように思われる人物。 この2人を軸に話が進んでいくが、ベネディクトの苦悩、自分自身と向き合いながらも少しずつ強くなる過程の描き方は丁寧で素晴らしかった。人間性の面をベネディクトで詳しく描き、ミステリーの物語としてはピエトロがいわゆる探偵のようにいろいろな面から謎を考察し、段取りよく解決のために動いていくので、ミステリー要素もしっかり作り込まれている。 最後の最後の方で、堅物ベネディクトがピエトロに対してそれまでと口調・雰囲気が変わっている場面はサラッと何でもないように書いてあるが、ベネディクト自身の意識の変化とピエトロとの友情という面でも大きな変化(成長)だったのでは、と思う。
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中世(13世紀)のイタリアを舞台に、修道僧と助祭が聖者(あの聖フランチェスコ!)の遺体が消えた謎を追うミステリー。カトリックの歴史的・宗教的な事象を背景としていて、日本人の著者がよく取り組んだなぁと感心した。私はカトリックの歴史は一般的な知識しか持っていないし、著者の意図などをち...
中世(13世紀)のイタリアを舞台に、修道僧と助祭が聖者(あの聖フランチェスコ!)の遺体が消えた謎を追うミステリー。カトリックの歴史的・宗教的な事象を背景としていて、日本人の著者がよく取り組んだなぁと感心した。私はカトリックの歴史は一般的な知識しか持っていないし、著者の意図などをちゃんと汲み取れたのかはわからないのだけれど、重い話ではないし、たいへん面白く読めた。(欧州に行くと、カトリックをもう少し勉強しておいた方が楽しめるなといつも反省するのだけれど、帰国するとそのままうやむやに日常に紛れてしまうのだ…) きっと大多数の日本人にとっては宗教や信仰は霞がかった異世界の話という感じだと思うのだけれど、この小説にも出てくる、聖フランチェスコに共感し行動を共にした老修道僧が、生涯をかけて神と向き合い考えていきついた「答え」はすごく腑に落ちるというか… こういう、人生を信仰に捧げて考え続けた人達の哲学の積み重ねというのは、やはり、尊いものだと感じた。 布石があちこちに置かれていたし、これはシリーズ化するつもりなのかなと思った。続編が出たらまた是非読みたい。 あと、アッシジにもいつか行ってみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最初の印象では,ちょっととっつきにくい小説かなと思っていましたが,読み始めると,先が気になって一気読みでした。 ピエトロの父の話が,あともうちょっと掘り下げられていたら,傑作だったと思います。 ピエトロとベネディクトの続編を期待します。
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ノンストップ中世!時代設定とモチーフとキャラの歯車が噛み合ってズンズン進むストーリーに引っ張られて最後までやめられない、止まらない状態でした。13世紀の中世イタリアの宗教世界という舞台そのものに重苦しさと距離感を感じるか、と思いきや、登場人物が現代的でとても身近な共感を感じてしま...
ノンストップ中世!時代設定とモチーフとキャラの歯車が噛み合ってズンズン進むストーリーに引っ張られて最後までやめられない、止まらない状態でした。13世紀の中世イタリアの宗教世界という舞台そのものに重苦しさと距離感を感じるか、と思いきや、登場人物が現代的でとても身近な共感を感じてしまうのです。特に主人公のひとり「偽ベネディクト」の童貞感満載の厨二病な純粋なる煩悶と、もうひとりの主人公ピエトロの社会の痛みを知り尽くしている現実感覚の裏に潜むロマンチシズムの組み合わせにやられてしまいました。そうなんです、このお話はバディものなのです。まったく違うタイプがお互いに気づきを与え合って成長する青春小説なのかも。ふたりの若者たちの先達である、聖フランチェスコとエリア・ボンバネーロ、レオーネ、キアラ、ジャコマおばさん世代の信仰と独占と嫉妬を巡る物語の謎にベネディクトとピエトロが巻き込まれて、この物語の大きな謎になり、そして結果的に、宗教って何だろう?というテーマも浮かび上がらせてくれています。大満足!かなり昔に行ったアッシジの街並みとフランチェスコ大聖堂を思い出しつつ、楽しく深い読書時間を堪能させていただきました!
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キリスト教とローマ、このモチーフだけで本を手にしてしまう性格はなんとかしないとだなぁw もう純粋すぎるくらいに純粋な主人公と世の中の清濁を飲んで生きるもののコンビが事件解決に向けて活動するって展開が面白い。ぶっちゃけ、教皇位がどうだとか宗派抗争だとかに興味なければ眠たいだけの話だ...
キリスト教とローマ、このモチーフだけで本を手にしてしまう性格はなんとかしないとだなぁw もう純粋すぎるくらいに純粋な主人公と世の中の清濁を飲んで生きるもののコンビが事件解決に向けて活動するって展開が面白い。ぶっちゃけ、教皇位がどうだとか宗派抗争だとかに興味なければ眠たいだけの話だけど、しいて言えばダン・ブラウンの小説のような感じで好きな人にはたまらないかも。 でも、まぁそんな自分でも読むのに4日かかっちゃったから退屈シーンは山盛りだったかもですw
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