神の影 の商品レビュー
コートジボワール出身の作家は、ルワンダで1994年に起きた大虐殺から間もない1998年と99年に、「ルワンダ、記憶する義務によって書く」という作家たちのプロジェクトに参加して現地を訪れた。タジョの筆は、事実を秩序立てて構成するというやり方ではなく、「千の丘の国」と呼ばれる美しく静...
コートジボワール出身の作家は、ルワンダで1994年に起きた大虐殺から間もない1998年と99年に、「ルワンダ、記憶する義務によって書く」という作家たちのプロジェクトに参加して現地を訪れた。タジョの筆は、事実を秩序立てて構成するというやり方ではなく、「千の丘の国」と呼ばれる美しく静かな土地の印象、出会った人々の語り、また何かの寓話のようなエピソードをつらねて、まるで連作短編集のようだ。 家族や同僚を置いて逃げ出した自分を責めている人たち。多くの責任ある者たちが逃れていることを理路整然と告発する死刑囚がいる一方で、匿っていた子どもを殺すよう強いられたことを自ら名乗り出、死刑がもたらされることを望む司祭もいる。虐殺によって奪われた愛と生まれた愛の物語。虐殺の前に起きていた強姦。 決して分析的な本ではないが、この紛争にジェンダーが重要な役割を果たしていたことは、フツの民族主義団体「フツ・パワー」が掲げていた「フツの十戒」が、次のように始まるところにも見て取ることができる。 「1.フツの男たちは知るべし。ツチの女たちはどのようなところにいても自民族の利益のために働くと。したがってわれらは、次のようなツチをすべて裏切り者とみなす。ツチの女と結婚する者。ツチの女を友人とする者。ツチの女を秘書にする者、あるいは内縁関係を結ぶ者。」 「2.フツの男たちは知るべし。われらフツの娘たちはより優秀で、女、妻、母としての役割をより誠実に果たすと。彼女たちは美しく、有能な秘書であり、より正直ではないだろうか」 「3.フツの女たちよ、注意深く振る舞え。夫、兄弟、息子たちを理性へと引き戻すのだ」。 そうして女たちもまた、強姦や殺害を扇動する歌を歌い、ツチの女や子どもたちを殺害し、被害者の財産を奪うなどして、虐殺に重要な役割を果たしたのだった。 タジョが本書のために現地を訪れた時点においてすでに、人びとは早く虐殺を忘れ去って経済復興に進みたいと考えていた。同じように多くの非業の死者たちを出してきたこの国の今を見ながら、正義を抜きにした集合的な死者への鎮魂というものがありうるのだろうかと思う。鎮魂の祈りというものを脱政治化させないために、何が必要なのだろうか。
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