ローマ法王 の商品レビュー
結婚してカトリックに帰依した人が書いた本。元々はちくま新書から出ていたが中公文庫を経て教皇フランシスコの訪日に合わせて三度目の版元から刊行されている。 ドイツ語が出来るから?それとも邦題は知らなかったから?ちくま新書ではホーホフートの戯曲を原題直訳の「助祭」としていたが中公文...
結婚してカトリックに帰依した人が書いた本。元々はちくま新書から出ていたが中公文庫を経て教皇フランシスコの訪日に合わせて三度目の版元から刊行されている。 ドイツ語が出来るから?それとも邦題は知らなかったから?ちくま新書ではホーホフートの戯曲を原題直訳の「助祭」としていたが中公文庫から邦題の「神の代理人」にしている。せっかくドイツ語が出来るのだからクノップの「ホロコースト全証言」で紹介されている「教皇ピウス一二世。ベルリン司教コンラート・ブライジングに宛てた書簡。一九四三年」にも言及すればいいのに。ホーホフートの戯曲に対して「ヴァティカンはこれに対して、法王は、ナチスの犯罪を公に弾劾することで犠牲者の運命をさらに悪化させるのは危険だと判断したのだと弁明した」とあるが当の本人が「だが現在の状況では、遺憾ながらわれわれには彼らを効果的に助力することはできない。ただ祈りを捧げるのみである」と「非アーリア人、もしくは半アーリア人のカトリック教徒はわれわれと同じく神の子であるが」と「ユダヤ人」ではなくNS用語を使って明らかに知っていながら切り捨てている。だから聖エーディット・シュタインのような人が生まれるわけだ。教皇ピウス12世聖下にすれば問題を起こした神父を他の司教区や外国に逃がすやり方で「零時」の後に「安全」な南米やアラブ圏に褐色や黒い羊を逃がす「助力」の方が重要だったようだ。 聖ヨハネス・パウルス2世の時代にカトリック教会が犯した犯罪であるルワンダの虐殺への共謀など一言も触れていない。ベルギーの枢機卿が書いたベルギー領コンゴの独立に際して帝国主義の時代ですら評判が悪かったレオポルド2世を「天才」と賞賛した事を一言も触れない「ボードワン国王」という本があるが第1次世界大戦でドイツからベルギーの植民地になったルワンダで決定的にフツとツチを分断する政策をしたのはベルギーだそうだがボードワン国王が言うところの「天才」は関係ない。今頃になってフランシスコがルワンダの虐殺に対して「謝罪」をしているが当時あなたは何をしていたのか、声を上げなかったのか?と言いたくなる。大虐殺が起きた時に何もしないし関係者を破門しないで教会の関与を否認したカロル・ヴォイティワのような男でも聖人になれるならカトリック教会に帰依したユダヤ人を見捨てたエウジェーニオ・パチェリも聖人に列すればいいのに。一個所だけ出て来る「社会派」という言葉は一般の読者には馴染みがないだろうに説明がないが「社会派」にしてもカロル・ヴォイティワを批判する事などしなかっただろう。自分達も何もしなかったから。この本で書かれている「謝罪」はカトリック教会がどう見てもしなければならなかった事だが、同時に「謝罪」しなければならなかった事を犯しては話にならない。
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【罪も人も時代と共に変遷する。その中で、神と人との関係がどう変わっていくのかということは、一神教世界においては今も変わらぬ大問題なのだろう】(文中より引用) 宗教上はもちろんのこと、国際政治や環境といった面でも強い影響力を誇るローマ法王。歴史や直面してきた問題を顧みることで、ロ...
【罪も人も時代と共に変遷する。その中で、神と人との関係がどう変わっていくのかということは、一神教世界においては今も変わらぬ大問題なのだろう】(文中より引用) 宗教上はもちろんのこと、国際政治や環境といった面でも強い影響力を誇るローマ法王。歴史や直面してきた問題を顧みることで、ローマ法王の歩みとその役割について考えるための一冊です。著者は、バロック音楽奏者としても知られる竹下節子。 キリスト教の教義や神学面には敢えて立ち入らず、歴史などのわかりやすい部分について触れられているため、一読してローマ法王に関する輪郭がすっと頭に入ってくる良書。近年のローマ法王についてはページも多く割かれているため、関連する分野に関心がある場合にまずオススメできる一冊です。 ニュースの見方が一味変わってくるかも☆5つ
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