統合失調症 の商品レビュー
どうして統合失調症の人は同じような妄想をするのか謎 ・セイリエンス仮説 セイリエンス=顕著性 人々は普段、たくさんの刺激の中からその一部にだけ注意を向けている。音や視覚刺激は、私たちにそれと気づかせやすくする目立ちやすさをそれぞれに違った程度で備えている。それをセイリエンス、顕...
どうして統合失調症の人は同じような妄想をするのか謎 ・セイリエンス仮説 セイリエンス=顕著性 人々は普段、たくさんの刺激の中からその一部にだけ注意を向けている。音や視覚刺激は、私たちにそれと気づかせやすくする目立ちやすさをそれぞれに違った程度で備えている。それをセイリエンス、顕著性と呼ぶ。 セイリエンスは、事物そのものの性質(目立った色や聞き慣れない音など)、および周囲のものや刺激との関係で決まるが、事物へセイリエンスを付与する役割を果たしているのが、わたしたちの脳であり、特にドパミン神経系である。 ドパミン神経系の活動によって、外界刺激にセイリエンスが付与され、私たちにとって意味を持つ重要な刺激となる。 ・ドパミン神経系の働きは、私たちの環境の中から、重要なものだけに注意を向けさせると言う点においては、生存に必須の機能。 ドパミン神経系の働きが失われると、あらゆる事物は大事なものではなくなってしまい、無関心状態(アパシー)に陥る。 逆に過剰になった場合、本来セイリエンスが低くあるべき事物のセイリエンスが上昇する。 ・統合失調症の幻覚や妄想には、ドパミン神経系の働きを抑える薬の効果があることがわかっている。このことから統合失調症はドパミン神経系の異常によって起きる病気であるという「ドパミン仮説」が登場し、原作ドパミン仮説は原因不明な病気である統合失調症の説明仮説として最も有力な仮説と考えられている。 ・ヤスパースは、精神医学全般において、患者を理解するときの方法には「説明」と「了解」と言う二つのモードがあることを示した。 説明:生物学的な原因から病気を説明する 了解:患者の立場でその気持ちを推し量って病院わ理解(了解)する →こうした区別がなければ、了解も説明もごちゃ混ぜにして、病気の原因・理由について憶測してしまうことになりそうだが、この区別によって、心の現象という複雑な出来事を整理して考えることができるようになった。 ・ヤスパースによれば ①その内容がありえないこと ②非常に強い確信 ③訂正不能であること の3要素が揃って妄想ということになる。 ただ、精神科医が妄想と判断しているような事例で、この定義に当てはまらない場合が多々ある。 例えば、嫉妬妄想を持つ患者が、夜空の星座の配置から自分の配偶者が浮気をしているという確信を持ったとすると、医師は患者が妄想をもっていると判断するが、患者が全く関知しない理由で配偶者が浮気していた場合、患者のそれが妄想をもっていないと判断はしない。こういったことから、妄想の定義はなかなか手強い。
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わかり易く書かれていて、1日で読み終えることができました。 深堀りしたい、非常に興味深いことがいくつか書かれていました。 「異常セイリエンス仮説」 クルト・シュナイダーの一級症状 ヤスパースの妄想の定義 安部公房の『人間そっくり』 知との素敵な出会いが読書の醍醐味だな、と思わせて...
わかり易く書かれていて、1日で読み終えることができました。 深堀りしたい、非常に興味深いことがいくつか書かれていました。 「異常セイリエンス仮説」 クルト・シュナイダーの一級症状 ヤスパースの妄想の定義 安部公房の『人間そっくり』 知との素敵な出会いが読書の醍醐味だな、と思わせていただきました。
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若くして京大教授になられた著者はバランス感覚の優れた人で、しかも精神医学の医学として、科学として押さえるべきところは押さえる姿勢には常々好感を持っている。本書は一般向きの本であるが、専門官が読むと、一般の人に出来るだけ誤解を内容に説明するには、このように説明すればという発見がある...
若くして京大教授になられた著者はバランス感覚の優れた人で、しかも精神医学の医学として、科学として押さえるべきところは押さえる姿勢には常々好感を持っている。本書は一般向きの本であるが、専門官が読むと、一般の人に出来るだけ誤解を内容に説明するには、このように説明すればという発見があるし、一般の人にも読みやすいのではないだろうか。メンタルヘルスではなぜか最も多い疾患でありながら一般書がないなかで、一般への啓もうとしても良書と感じた。
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統合失調症に対してのイメージが変わった。 中途半端な知識でイメージを勝手に作り上げないようにまずは知りたい。
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統合失調症について正しい知識を得ることを目的とした本。 ロマンや凶暴性などは無く、一般的な病気であり、偏見を捨てることが大事であると分かった。
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統合失調症を偏見を抜いたフラットな視点でデータを基に優しく教えてくれる本。 著者は統合失調症は風邪やうつ病と同じく、突然に人がかかる病気と大差ないものだと主張する。 身近に統合失調症者のいる人はぜひ。
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ドーパミン仮説は知っていたが異常セイリエンス仮説は知らなかったので勉強になった。 ヤスパースが精神医学を納めていたことも初めて知った。説明と了解についての解説も分かりやすい。 各事象を平明に説明してくれているし、薬や治療の歴史も辿れるので俯瞰するのに丁度良い。 妄想については深く...
ドーパミン仮説は知っていたが異常セイリエンス仮説は知らなかったので勉強になった。 ヤスパースが精神医学を納めていたことも初めて知った。説明と了解についての解説も分かりやすい。 各事象を平明に説明してくれているし、薬や治療の歴史も辿れるので俯瞰するのに丁度良い。 妄想については深く考えた事は無かったけど筆者の意見で改めて考えさせられた。
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わかりやすく、読みやすい良心的な本だった。 病気の症状や治療方針だけでなく、それまでの歴史や社会的背景、『心の病』ゆえの特色や扱いの難しさを赤裸々に語っている。 精神科自体が、統合失調症のために発達した領域だという視点が発見だった。病院があるから治療ができる病だと思ってしまうが...
わかりやすく、読みやすい良心的な本だった。 病気の症状や治療方針だけでなく、それまでの歴史や社会的背景、『心の病』ゆえの特色や扱いの難しさを赤裸々に語っている。 精神科自体が、統合失調症のために発達した領域だという視点が発見だった。病院があるから治療ができる病だと思ってしまうが、そもそも先に病院があるのではなくてまず病があってそれに医療というものが『発達』するという順序なのだよなぁと思う。 社会や家庭環境が発病の原因とは認められないけれど、発病後の状態や社会生活には密接に関わる、というのもなるほどと思う。 知人が10年近くこの病と付き合い続けているが、付き合い方の距離感がとてもうまく落ち着いているように見える。ただ、いつまで薬をのみ続けるのだろう、完治とはどこで判断されるのだろう、ということと、社会復帰の程度とストレスの兼ね合いのさじ加減が難しいよなあと感じる。 『妄想』の定義の話は面白かった。そもそも、社会や国、お金というものも概念的な存在に過ぎず、みんながうまく信じ込んでいることで効力があるものだし。でも明らかにそういう妄想とは違う、と言えるけど、でも紙一重なところはある。妄信的な社会に溶け込めず頭がオカシイとされて口を封じられる人だっているのだろう。 そしてそんな風に、ただの医学的な視点からもう一飛びして、文学や哲学の思想からの話も盛り込まれているところがとても好印象で好きだった。いろんな示唆をもらえた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
統合失調症について、精神科医の視点から述べている。定義、症状、統合失調症患者のケーススタディ、患者のケア、社会との関わりなど。私の興味は統合失調症の生理学的モデルで、文中で説明のあったドーパミン仮説から発展させた異常サリエンス仮説は、生理学的な考えに心理的なサポートも加えていて、患者の主観をより説明できていて納得した。
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