ベーシックインカムを問いなおす の商品レビュー
全部で11章からなるのですが、最初の3章(とくに最初の2章)は「アンチベーシックインカム」色が強く、ベーシックインカムを目の敵にするような論調で感情的な印象でした。 しかし、4章以降は、それも落ち着き、冷静で客観的になっていった印象です。 「ベーシックインカムはダメ」という主張...
全部で11章からなるのですが、最初の3章(とくに最初の2章)は「アンチベーシックインカム」色が強く、ベーシックインカムを目の敵にするような論調で感情的な印象でした。 しかし、4章以降は、それも落ち着き、冷静で客観的になっていった印象です。 「ベーシックインカムはダメ」という主張は、現在の延長線上で考えているのが、大きな原因のような気がします。 「現状の社会保障の代替にはならない」とか「現在の貧困問題の解決にはならない」といった主張が展開されているのですが、ベーシックインカムは、そういうものではないように思います。 ベーシックインカムについては、まずは、「我々の社会はどうあるべきか」をデザインし、そこにベーシックインカムを導入することの意味を考え、その結果、ベーシックインカムが、あるべき社会の構築に資するならば、導入を前提にして、バックキャスティングで検討すべき事項ではないかと思っています。 現代の社会に導入する、という視点で考えると、いろんなところで矛盾が起こるのは当然ですが、本書の最初の3章は、その視点がとくに強く、読んでいて残念な気持ちになりました。 ただ、全体を読んで感じたのは、「ベーシックインカムについては、どういう形での導入を考えるとしても、その考えを捨てるのはもったい」ということです。 ベーシックインカムに反対するような意見を表明している人も、なんだかんだいって、ベーシックインカムには魅力を感じているように思います。
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ベーシックインカムを問いなおす:その現実と可能性 著作者:佐々木隆治 発行者:法律文化社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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