城下町のダンデライオン(5) の商品レビュー

春日歩(著者)

2020/06/13

4巻を読んだ時にはなんでこんな話が始まったんだ？とまで思ったアンジェリカ編。5巻後半から事態は急転直下を迎える。アンジェリカの過去が何故失われていたのか、今また父を救うため、代償として茜との記憶を失うことを選択する。全ての記憶を失ったはずのアンジェリカだったが、結果として父を救えなかったため、代償は払われなかったのかも知れない。だが、茜との記憶だけは....... 再び櫻田家に戻ったアンジェリカは、ふとした事から過去を取り戻す。茜は唯一言こう言った。「おかえり」と。
ご都合主義と言われれば確かにそうだ。そんなうまく行くはずがない。アンジェリカの父はアンジェリカの記憶を失わせてしまったことを激しく後悔し、アンジェリカの決意も虚しく母の元に旅立ってしまうのだが、ちょっとは最期にアンジェリカに全てを還すことが出来たのだろう。恐らく本望であったに違いない。当初イラストレーターが描いたマンガにしか見えなかったこの作品も、時を経てこんな作品になりました。やはり櫻田家には茜様がいなくちゃね。