セレクション 戦争と文学(4) の商品レビュー
1番初めの、大原富枝「祝出征」が、戦時中の銃後の日本のただなかに落とされるようで、ただ打ちのめされた。それ以外の話は、小説としての膜を被っている感じがする。 それでも圧倒的な戦争の存在感があるのは、彼らが、非日常で生か死かの極限の戦場にいるのではなく、生を前提にした日常にいて、な...
1番初めの、大原富枝「祝出征」が、戦時中の銃後の日本のただなかに落とされるようで、ただ打ちのめされた。それ以外の話は、小説としての膜を被っている感じがする。 それでも圧倒的な戦争の存在感があるのは、彼らが、非日常で生か死かの極限の戦場にいるのではなく、生を前提にした日常にいて、なお濃く漂う戦争を感じるからだと思う。 裕次と静、姑と実家の実感。千代と一夫の初恋、健とお久の「美談」、どれもが生き生きとして、そして生々しい。 「思い残す事ただ一つあり!じゃあないか?一夫る」若い連中の中からそんな言葉が飛んで来た。一男は千代の注いだ酒杯をぐっと空けて、そのままその方へ、「おい一つ!」と突き出した。
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セレクション第4巻。 予想外だったのは、『戦争文学らしさ』というものがあるとすれば、本書の濃度が一番濃いように思われたこと。
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