THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える の商品レビュー

ジョー・マッケンジー(著者),稲垣みどり(訳者),中島宏明

2021/01/11

業務の中で、暗号通貨がテーマのプロジェクトのため、急ぎ購入した本書。暗号通貨・ブロックチェーンへの知見が全くないわたしにとって大変勉強となった。

ただし、著者は現在成長期の暗号通貨の業界人であり、著者自身が関わっている暗号通貨もあるため、幾ばくか暗号通貨賛成派に傾斜した内容になっていることは否めない。　暗号通貨が目指す理想の姿や暗号通貨への投資を推奨する論調に疑問が残る方もいるだろう。

一方で、暗号通貨の草創期から業界に関わってるだけあって、暗号通貨業界・仕組みを理解する上では大変勉強になる。暗号通貨を支える技術ブロックチェーンへの理解にとどまらず、業界のトレンド、プレイヤーの分類など、本書の謳い文句にある「暗号通貨の全て」に恥じない内容になっている。

恥ずかしながら、私の暗号通貨(ブロックチェーン)への理解は、「改ざん不能で複数人で管理する口座台帳のようなもの」程度しかなく、なぜ改ざん不能なのかであったり、複数人で管理するメリットはなんなのか、さらには、口座台帳とはつまりどういうことなのかは全く理解していなかった。
本書ではこのような初歩的な内容からわかりやすく解説されている。本書を読んだ上で、私は、上記の疑問に対して重要なポイントは、取引のネットワークへの通知から承認までのプロセスで存在するマイニングという仕組みであることを理解した。

また、近年、様々な暗号通貨(ビットコイン以外のもの)が世に出されている背景やバイネームでの紹介は勉強になった。ビットコイン以外の暗号通貨のことをアルトコインと呼ぶが、これらは、ビットコインが持つ通貨として致命的なデメリット(取引手数料、承認までの時間、ボラリティの高さ)を解決するために生み出されている。

そのほかにも、ICOや各国の取り組み、ブロックチェーンの応用など読み応えのある節はたくさんある。
暗号通貨の学習の最初の一冊としては適切ではないだろうか。