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精神病理学私記 の商品レビュー

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2022/01/09

第6回(2020年)日本翻訳大賞の受賞作。 本書は、1932年、サリヴァンが40歳のときに執筆されたもの。 本文の活字のポイントの大きさといい、読む者に良く配慮された、とても読みやすい本だ。 だが、僕自身のこの分野の知識不足のためか、あるいは読書があまりにも断続的なものだったため...

第6回(2020年)日本翻訳大賞の受賞作。 本書は、1932年、サリヴァンが40歳のときに執筆されたもの。 本文の活字のポイントの大きさといい、読む者に良く配慮された、とても読みやすい本だ。 だが、僕自身のこの分野の知識不足のためか、あるいは読書があまりにも断続的なものだったためか、読後、あまり明確な印象を結ばなかった。 特に、後半は聞いたこともない奇怪な専門用語なども頻出し、やや理解が難しかった。 《[訳注](5)Edward Sapir (一八八四-一九三九)アメリカの人類学者、言語学者。(略)著書に『言語ーことばの研究序説』(略)、論文集に『言語・文化・パーソナリティ』(略)。彼の言語学および文化人類学研究の成果は後年、「サピーア=ウォーフの仮説」として知られるようになる。要約すれば「人間は思考の産物として言語を自由に操るのではなく、むしろ各言語の形式に沿って思考している。」という主張である。この言語観はサリヴァンの対人関係論に大きな影響を及ぼしている。 「『世界で生起するもの』を先導するのは言語である。社会科学の研究者は言語にそれほどの興味を示さないものだが、しかしこの言語こそ、社会に生じる問題やプロセスを強烈に条件付けしているのだ。ヒトはただ客観世界に生きているのではないし、また相互的活動だけに生きているのでもない。むしろ表現の媒介物となっている特定言語の手中に踊らされている。」(『科学としての言語学の地位』訳注者による訳)》 《乳児にとって乳首は管理不能に去来する。乳首の背後に、どうやら乳首と関係深い人物がいるようだと初めて察知すること、これを「母認識(略)」と呼んでみよう。母の存在は少しずつ現実味を増していく。そしてそのうちに、あそびを除けば、母が事実上全ての快楽の源泉となる。乳児にとっての欲求は一つ残らず、外環境、つまり母親の働きかけ無しには満たされない。(略)母は快楽と満足を与えてくれる全知全能の存在となる。この関係は神の概念に等しい。つまり人類にとって、母への初期情動(略)が、神の概念、神秘的超越的介入の概念、祈禱の概念の「流れいずるところ」であることは疑う余地がない。》

Posted byブクログ