憲法判例と裁判官の視線 の商品レビュー
元最高裁判事が裁判官の思考過程を(差し支えないと思う範囲で少しだけ)明らかにしたというもの。 類書を見ないとまでは言えないが、ある程度読みやすく書かれており、それなりに意義のある一冊。 裁判所は、時代の先を見据えることはあっても、時代の先を行くリーダーシップを発揮する役割を担っ...
元最高裁判事が裁判官の思考過程を(差し支えないと思う範囲で少しだけ)明らかにしたというもの。 類書を見ないとまでは言えないが、ある程度読みやすく書かれており、それなりに意義のある一冊。 裁判所は、時代の先を見据えることはあっても、時代の先を行くリーダーシップを発揮する役割を担っているわけではない(担おうともしていない)、ということが著者の出発点となっているように感じられる。たくさんの本等で論じられているところであるが、その賛否は分かれるのだろう(どうでもいいと思っている人が大半かもしれない。)。 筆者が裁判官の思考過程として信奉するリーガルマインドによる直感。筆者がどのようにリーガルマインドをとらえているのかは必ずしも明らかではないが、学者と裁判官の思考過程について「両者には基本的に異なる点がある」(p18)とするところには、個人的には疑問があり、もう少し深く考えてみてもいいのではないか(又はもう少し深く説明してほしかった)という残念感がある。 さもなければ、裁判官の「良心」(憲法76条3項)は裁判官の恣意そのものであるという批判がされかねない。
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