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地図を回すとこれからの世界が見えてくる の商品レビュー

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2019/11/10

豊田隆雄氏は、近代日本史、韓国史等に関する一般向けの著作も持つ、現職の高校教師(日本史、世界史、地理)。 我々日本人にとって世界地図といえば、小学生のときから見慣れた、左右の中心に日本があり、北を上、南を下にしたメルカトル図法のものであり、自然とそうした視点から世界を認識・理解す...

豊田隆雄氏は、近代日本史、韓国史等に関する一般向けの著作も持つ、現職の高校教師(日本史、世界史、地理)。 我々日本人にとって世界地図といえば、小学生のときから見慣れた、左右の中心に日本があり、北を上、南を下にしたメルカトル図法のものであり、自然とそうした視点から世界を認識・理解するようになってしまっている。しかし、当然ながら、ヨーロッパで作られている世界地図はヨーロッパが左右の中心にあり、それ故、日本は極東と呼ばれるわけであるし、オーストラリアでは南半球が上にある上下逆さまの地図も売られているという。 地図の向きを変えると世界の見え方が変わるということは、しばしば言われることであるし、私もこれまで、日本近辺の地図を、ユーラシア大陸を下にして、日本列島・南西諸島が上向きに弓なりになるように置き(本書のP.3にも掲載されている)、中国・韓国・ロシアから見ると、日本は太平洋への出口を塞ぐ(彼らにとっては、目障りな?)位置にあり、それがこれまでの各国間の歴史に少なからぬ影響を与えてきたことを、再認識してきた。 本書は、そのアプローチを全世界に広げ、それによって地政学的に何が見えてくるのかを分析・解説したものである。 取り上げられた地域・テーマは、東シナ海、南シナ海、オホーツク海、日本海、黄海、一帯一路(欧州・中南米・アフリカ)、カシミール、黒海、カスピ海、中露国境、カフカス、北極海、地中海・ジブラルタル、北海、ピレネー山脈、パナマ運河、アメリカと移民、ペルシャ湾、イエメン、イラン・イラク、アフガニスタン、クルド人であるが、日本近辺の見え方のほかにも、ロシアにとっての黒海の重要性、温暖化が進むことによる欧米ロにとっての北極海の戦略性の高まり、パナマ運河やジブラルタルの位置付けなど、一目瞭然、目から鱗で、大変興味深い内容であった。 世界の見方、国際情勢の理解の仕方が一段レベルアップする、良書と思う。 (2019年11月了)

Posted byブクログ