日南X の商品レビュー
鳥取県日南町を舞台に繰り広げられるミステリー。 分厚さに怯んだが先が読めない展開に結末が気になりぐいぐい読み進める事が出来た。 オオクニヌシ再生神話、シベリア抑留の過酷な実情、町の三分の二を焼き尽くす大火事、轢き逃げ事件、遺体が移動する謎の殺人事件と、一つ一つの出来事は全く関連...
鳥取県日南町を舞台に繰り広げられるミステリー。 分厚さに怯んだが先が読めない展開に結末が気になりぐいぐい読み進める事が出来た。 オオクニヌシ再生神話、シベリア抑留の過酷な実情、町の三分の二を焼き尽くす大火事、轢き逃げ事件、遺体が移動する謎の殺人事件と、一つ一つの出来事は全く関連のない物に見えるが、全ての真相が明らかになる時、それは過去から現在までが1本の線で繋がり全てが交差されていた事に気付かされる。 随所に張り巡らされていた伏線はラストで綺麗に回収され清々しい。 ミステリーと言うより骨太の人間ドラマを堪能した。
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発行元が<日南観光協会>という正に地域密着型のローカルミステリー。鳥取県日南市を舞台に、オオクニヌシ(大国主)の再生神話をベースとした殺人事件が発生するという筋書きで、トラベルミステリーと社会派ミステリー双方の趣を兼ね備えた多層的な作品である。伏線を全て回収した上で描かれるエピロ...
発行元が<日南観光協会>という正に地域密着型のローカルミステリー。鳥取県日南市を舞台に、オオクニヌシ(大国主)の再生神話をベースとした殺人事件が発生するという筋書きで、トラベルミステリーと社会派ミステリー双方の趣を兼ね備えた多層的な作品である。伏線を全て回収した上で描かれるエピローグは実に感動的なのだが、文章にメリハリがなく、最初から最後まで平坦な印象のまま収束してしまった。著者は元々ミステリー畑の作家ではないようだが、この物語のスケール感ならば、もっと盛り上げようがあっただけに、少々勿体ない作品でした。
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正直あまり期待は、してなかった。 しかし、面白く読んだ。 かなり盛り込み過ぎだったが、田舎料理かもしれないが、とても一生懸命な感じが伝わってくる。
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とても良かったです。新聞記者の直哉と高校生の娘の春日の視点でまずは不可解な一つの殺人事件を起点に話は始まりますが、読み進めるにつれ人となりを示すために描かれていると思われるエピソードまですべてが、綺麗に繋がっていることに気づき驚かされます。日南町だからこその伝説や背景、1992年...
とても良かったです。新聞記者の直哉と高校生の娘の春日の視点でまずは不可解な一つの殺人事件を起点に話は始まりますが、読み進めるにつれ人となりを示すために描かれていると思われるエピソードまですべてが、綺麗に繋がっていることに気づき驚かされます。日南町だからこその伝説や背景、1992年であることにも意味がある。怪しいと感じられる人物もいますし、細かいところまで目が離せず飽きさせません。このページ数で全く無駄がないです。重いですが苦いだけじゃない、悲しいだけじゃない。エピローグがまた素晴らしかった。堪能しました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
山や川、緑の木々に囲まれた懐かしい故郷。 時代が移り変わっても、帰ってくる者をいつでも温かく迎えてくれる。 自然だけではない。 古来から伝わる神話や試行錯誤の末に興した数々の地場産業。 地域住民が長年に渡り守り伝えてきた想いが染み渡ってくる。 鳥取県日南町で起きた殺人事件の謎を紐解くミステリー。 小説の中に地域の歴史や特色を盛り込みつつ、ミステリーも楽しめる。 これぞエンターテイメント。 ただの観光パンフレットを見るよりもずっと心に残る。 私の住んでいる県のお隣、ということで知っている所が沢山出て来て、とにかく楽しかった。 訪れたことのある場所、聞いたことのある地名が次々に登場。それだけでワクワクしっぱなし。 私の住んでいる市もちらっと出て来て嬉しい。 今は亡き、前日南町長からの依頼で、鳥取県民の松本薫さんが作成された本作。 地元の手作り感が巧い具合に出ていてとても好ましい。 前日南町長の狙い通り、地域おこしに繋がるといいな。 ぜひ他の地域の『●●X』も読んでみたい。
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東陽新聞米子支局長の牟田口直哉と娘の高校生.春日が主な主人公で話の舞台は鳥取県南西部の日南町。古事記に記されるオオクニヌシの再生神話が伝わる神社での他殺死体を春日たち高校生が発見。しかし、数十分後その死体は別の神社に移動。その被害者は町をリゾート開発を請け負う大阪の不動産会社の会...
東陽新聞米子支局長の牟田口直哉と娘の高校生.春日が主な主人公で話の舞台は鳥取県南西部の日南町。古事記に記されるオオクニヌシの再生神話が伝わる神社での他殺死体を春日たち高校生が発見。しかし、数十分後その死体は別の神社に移動。その被害者は町をリゾート開発を請け負う大阪の不動産会社の会長。直哉や地元新聞の記者の坂本や警察が事件として追う。39年前の町の大火、その放火犯人として逮捕された人物、その際に何人かの人物の入れ替えと関係した名家の佐埜家の系譜、シベリア抑留の悲話、直哉の母親のひき逃げ死亡事件、地元出身の国会議員の不正政治献金、その秘書の目論みなどいろんな要素が絡み合いながら展開していく。春日の部活の先生の本庄早霧や直哉が出前をとるラーメン屋のおっちゃんも重要な役割で、登場人物も結構多くて、誰がどうなの?この人とこの人がこうなって今はこうなのみたいな整理しながら読み進めた。そして、最後にはこれらの複数の要素はきれいに繋がっていく。事件の発端は町の大火によるものだけど、原因は失火なのか放火なのか、佐埜と木庭の因果関係など不確定な事項がタイトルの「X」なのか?25年後のエピローグがホッコリした。
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