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風になる日 の商品レビュー

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2020/11/09

著者は、ホンダ・ワルキューレに長年のり続けるバイク乗りで、これまでもバイクと人を主役にした物語を綴ってきた。この本もバイクに魅せられた人物が登場する5編の中短編集。 一番、印象に残ったのは中編「流儀」。万引き犯の老人を見逃してやったことで警備会社から解雇され無職となった男が北海道...

著者は、ホンダ・ワルキューレに長年のり続けるバイク乗りで、これまでもバイクと人を主役にした物語を綴ってきた。この本もバイクに魅せられた人物が登場する5編の中短編集。 一番、印象に残ったのは中編「流儀」。万引き犯の老人を見逃してやったことで警備会社から解雇され無職となった男が北海道へバイクでツーリングに出る。そこで、違法CB無線機を使いながら自分の「流儀」を語る男と知り合い、自分にも「流儀」があることを悟る。無線機や電波法、警備業務の分類など、著者ならではと思える蘊蓄も盛り込まれていた。 冒頭作の「リターンズ」も奇抜でありながら人情も感じさせる面白い話。恋破れ、故郷・郡山から就職先の東京へ高速バスで向かう主人公がタイムマシンに乗ってやってきたような男たちと出会い、彼らが主人公の未来を語る。SF系の話かと思い、興ざめかけたが、意外な展開が待ち受け、また、引き戻された。後ろ向きだった主人公が前向きになって終わるラストに清々しさも覚えた。 バイクごと、崖から転落して記憶を失った男と、彼を救った男の関係を巡って、緊迫した展開となる「横取り」も謎解きの要素があり、楽しめた。

Posted byブクログ