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2023/08/23

 本書は、絵本作家「よしだるみ(吉田瑠美)」さんの、『どうぶつのかぞくえほん』シリーズの一冊で、おそらく幼稚園や保育園くらいの子どもを対象にした、友達の素晴らしさを教えてくれる、コンパクトなサイズで読みやすい、メッセージ絵本です。  主にオイルクレヨンで描かれた絵には、薄らとし...

 本書は、絵本作家「よしだるみ(吉田瑠美)」さんの、『どうぶつのかぞくえほん』シリーズの一冊で、おそらく幼稚園や保育園くらいの子どもを対象にした、友達の素晴らしさを教えてくれる、コンパクトなサイズで読みやすい、メッセージ絵本です。  主にオイルクレヨンで描かれた絵には、薄らとした柔らかさと温かさを感じられて、変に動物をデフォルメしていないデッサン風な描き方は、ありきたりに感じられるかもしれないが、そこに色が着くことで、本物の感情が宿ったような印象を抱かせ、それは、ただ前を向いて立っている象とアヒルや、目を伏せて下を向いた母カンガルーに、目から健気な意志を感じさせるウミガメの絵などに添えられた、シンプルな言葉と共に、その内に抱えた思いをしみじみと噛み締めることが出来るような、感傷的な雰囲気がまた印象に残ります。  また、こうした動物によって仲良しの大切さを示すような絵本の構成を見て、改めて実感したことは、幼稚園や保育園に上がる前の子どもにとって、おそらく家族だけがそのような存在であるから、他にそうした気持ちに駆られるのは動物なのではないかと思い、それは、大人と子どもとでは動物を見る視点が根本的に異なるのではないかということと、子どもが動物同士で仲良くしている姿を見て、自分も動物にそうしたいと感じると共に、それらと同等の価値があるのが、友達なんだということに気付くきっかけになるのかもしれないと思われたのが、私には、とても新鮮に感じられました。  よしだるみさんに興味を持ったのは、『絵本のいま 絵本作家2021-2022』で見た絵に惹かれたのがきっかけで、そこにあったのは風景画だったのですが、その光と影の織り成すコントラストに滲む、何とも言えない哀愁がとても印象に残っていました。  また、経歴も印象的で、東京都渋谷区出身の彼女は、幼少期をニューヨークで過ごし、青山学院女子短期大学芸術学科卒業。京都に移住したのを機に再び絵を本格的に描き始めたそうで、現在は、中国武術の講師を務めながら(凄い!)、絵本と絵画作品を製作しているとのことで、なぜ京都に住もうと思ったのかがとても気になる・・・。

Posted byブクログ